サムエル記上 25:1−44
ダビデとアビガイル
翻訳比較
聖書協会・共
同訳 サムエル記上 [25]章
◆サムエルの死
サム上
25:1 サムエルが亡くなったので、イスラエルのすべての人々は集まり、彼を悼み、彼の家があるラマに彼を葬った。ダビデは立ち上がり、パランの荒れ野
に下った。
◆ダビデとアビガイル
サム上
25:2 一人の男がマオンにいた。彼はカルメルで仕事をしていた。非常に裕福で、羊三千匹、山羊千匹を持っていた。彼はカルメルで羊の毛を刈ることに
なった。
サム上
25:3 その男の名はナバルで、妻の名はアビガイルと言った。妻は聡明で美しかったが、夫は頑固で振る舞いが粗野であった。彼はカレブ人であった。
サム上 25:4 荒れ野にいたダビデは、ナバルが羊の毛を刈っていることを聞き、
サム上 25:5 十人の部下を送ることにして、彼らに言った。「カルメルに上って行き、ナバルを訪ね、私の名で挨拶をし、
サム上
25:6 こう言いなさい。『あなたと皆さんに平和がありますように。あなたの家に平和がありますように。あなたのものすべてに平和がありますように。
サム上
25:7 あなたのところで羊の毛を刈っていると聞きました。あなたの羊飼いたちは私どもと一緒にいましたが、私どもは彼らを辱めたことはありません。彼
らがカルメルにいた間、なくなったものは何一つないはずです。
サム上
25:8 あなたの若者たちに尋ねてくだされば、彼らはきっとそう答えるでしょう。どうか、私の部下の者がご好意にあずかれますように。この良き日に私ど
もも居合わせたのですから、お手元にあるものをあなたの僕たちと、あなたの子ダビデにお与えください。』」
サム上 25:9 ダビデの部下たちは行って、言われたとおりのことをダビデの名でナバルに告げ、答えを待った。
サム上
25:10 ナバルはダビデの部下たちに答えた。「ダビデとは何者だ。エッサイの子とは何者か。最近、主人のもとを逃げ出す奴隷が多くなった。
サム上 25:11 私のパン、私の水、それに毛を刈る者のために私が屠った肉を取って、素性の知れぬ者に与えろと言うのか。」
サム上 25:12 ダビデの部下たちは道を引き返して、一部始終をダビデに報告した。
サム上
25:13 ダビデが部下の者に、「めいめい剣を帯びよ」と命じると、彼らは皆剣を帯びた。ダビデもまた剣を帯びた。四百人ほどがダビデに従って上って行
き、二百人は荷物のところにとどまった。
サム上
25:14 ナバルの従者の一人がナバルの妻アビガイルに告げた。「ダビデが、ご主人様に祝福を述べようと、荒れ野から使いをよこしたのに、ご主人様は彼
らに腹を立ててしまいました。
サム上
25:15 あの人たちは実に親切で、私たちが野にいて彼らと一緒に移動したときも、私たちは辱められたこともなければ、何かがなくなったということもあ
りませんでした。
サム上 25:16 彼らのもとで羊を飼っているときは昼も夜もいつでも、私たちのための防壁となってくれました。
サム上
25:17 今あなたが何をなすべきか、しっかり考えてください。ご主人様やこの家全体に災いが降りかかろうとしています。ご主人様はならず者なので、誰
も何も言えないのです。」
サム上
25:18 アビガイルは急いで、パン二百個、ぶどう酒の革袋二つ、調理した羊五匹、炒り麦五セア、干しぶどう百房、干しいちじく二百個を取り、何頭かの
ろばに積み、
サム上 25:19 従者に命じた。「案内しなさい。後を付いて行きます。」彼女は夫ナバルには何も言わなかった。
サム上 25:20 彼女がろばに乗って山陰を下って行くと、ちょうどダビデとその部下たちが、彼女の方に下って来るのに出会った。
サム上
25:21 ダビデは今し方こう言ったばかりであった。「荒れ野であの男の所有物をすべて守り、何一つなくならないよう気を配ったが、それは全く無駄で
あった。彼は恩を仇で返した。
サム上
25:22 明日の朝までにナバルに属する者たちを一人でも残しておくなら、神がこのダビデを幾重にも罰してくださるように。」
サム上 25:23 アビガイルはダビデを見ると、急いでろばを降り、ダビデの前にひれ伏して礼をした。
サム上
25:24 彼女はダビデの足元にひれ伏して言った。「ご主人様、この度の過ちの責任は私にあります。どうか、仕え女の申し上げることに耳をお貸しくださ
い。仕え女の言葉をお聞きください。
サム上
25:25 ご主人様、あのならず者ナバルという男のことなど、どうかお気にかけないでください。ナバルという名のとおり、愚か者でございます。仕え女
は、ご主人様がお遣わしになった使者の方々にお会いしてはいないのです。
サム上
25:26 ご主人様、主は生きておられ、あなたご自身も生きておられます。あなたが自ら手を下して、血を流すことのないよう、引き止めてくださるのは主
です。あなたの敵として、ご主人様に対して災いを望む者はナバルのようになりますように。
サム上 25:27 これは、仕え女がご主人様に持参した贈り物です。あなたと行動を共にする部下の方々にお与えください。
サム上
25:28 どうか、仕え女の背きの罪をお赦しください。主は必ずご主人様のために確固とした家を興してくださいます。ご主人様は主の戦いを戦っておられ
るのですから、生涯、あなたに災いが降りかかることはありません。
サム上
25:29 人が逆らってあなたの命を付け狙うとも、ご主人様の命は、命の袋に入れられて、あなたの神、主と結ばれています。しかしあなたの敵の命は石投
げ袋に入れられて、飛ばされることでしょう。
サム上 25:30 主がご主人様に約束されたすべての良いことを成就し、あなたをイスラエルの指導者としてお立てになるとき、
サム上
25:31 あなたが自ら良かれと思って、訳もなく血を流すとしても、それがご主人様のつまずきや心の責めとなりませんように。主がご主人様に幸いをもた
らすときは、仕え女を思い出してください。」
サム上
25:32 ダビデはアビガイルに言った。「イスラエルの神、主はたたえられますように。今日、主はあなたを遣わして、私に会わせてくださった。
サム上
25:33 あなたの判断はたたえられ、あなた自身もたたえられるように。今日、あなたは私が自ら手を下して、血を流すことのないように引き止めてくれ
た。
サム上
25:34 イスラエルの神、主は生きておられる。主は私を抑え、あなたに害を加えるのを止めてくださった。あなたが急いで私に会いに来なかったなら、明
日の朝、光が射す頃には、ナバルには一人の従者も残されなかったであろう。」
サム上
25:35 ダビデは彼女が携えて来たものを受け取り、彼女に言った。「安心してあなたの家に帰りなさい。私はあなたの言葉を確かに聞き、あなたの願いを
受け入れた。」
サム上
25:36 アビガイルがナバルのもとへ帰ってみると、家では王の宴会のような宴が開かれていた。ナバルは上機嫌で、かなり酔っていた。翌朝、日が昇るま
で彼女は何一つ話さなかった。
サム上 25:37 朝、ナバルが酔いからさめたとき、妻は事の次第を報告した。するとナバルは意識をなくして石のようになった。
サム上 25:38 十日ほどして、主がナバルを打たれたので、彼は死んだ。
サム上
25:39 ナバルが死んだと聞いて、ダビデは言った。「主はたたえられますように。主は、ナバルが加えた私への恥辱に裁きを下し、僕に悪を行わせず、ナ
バルの悪をナバルの頭に返された。」ダビデはアビガイルに人を遣わし、彼女を妻にしたいと申し入れた。
サム上
25:40 ダビデの部下はカルメルのアビガイルのもとに来て、「ダビデはあなたを妻に迎えるために、我々を遣わしました」と告げた。
サム上 25:41 彼女は立ち上がり、地に伏して礼をし、「仕え女は、ご主人様の僕たちの足を洗う者になります」と答え、
サム上
25:42 すぐに身を起こしてろばに乗り、彼女の五人の侍女を連れて、ダビデの使者の後に従った。こうして彼女はダビデの妻となった。
サム上 25:43 またダビデはイズレエル出身のアヒノアムをめとった。彼女たちは二人ともダビデの妻であった。
サム上 25:44 サウルはダビデの妻であった自分の娘ミカルを、ガリム出身のライシュの子パルティに与えた。
フランシ
スコ会訳2013
001サムエルは死んだ。イスラエルの民はみな集まって
その死を悼み、ラマにある彼の屋敷に葬った。ダビデはパランの荒れ野に下って行った。
002マオンに一人の男がいた。彼はカルメルで仕事をし
ており、非常に裕福で、羊を三千匹、山羊を千匹持っていた。そのころ彼はカルメルで羊の毛を刈っていた。
003彼の名はナバルといい、その妻の名はアビガイルと
いった。彼女は聡明で美しい人であったが、夫の方は頑迷で行状が悪かった。彼はカレブ人であった。
004ダビデは荒れ野にいたとき、ナバルが羊の毛を刈っ ていることを聞いた。
005そこでダビデは従者を十人遣わし、彼らにこう言っ
た、「カルメルのナバルのもとに上って行き、わたしの名代として挨拶し、
006言いなさい、『来る年も今年のようでありますよう
に。あなたの上に、平安がありますように。あなたとあなたの家、あなたのすべてのものに平和がありますように。
007あなたの所に羊の毛を刈る者たちがいると聞きまし
た。あなたの羊飼いたちは、わたしたちと一緒でしたが、わたしたちは彼らを困らせたことはありませんでした。また、彼らがカルメ
ルにいる間じゅう、何の損害も受けていないはずです。
008あなたの召使たちに聞いてください。きっとそう言
うでしょう。わたしたちは祝いの日に来合わせました。この者たちにご厚意を示してください。どうか、あなたの僕たちと、あなたの
子ダビデに、お手元にある物を何か分けてください』」。
009ダビデの従者たちは行って、ダビデの名代として言
われたとおりのことをナバルに伝え、返事を待った。
010ナバルはダビデの家来たちに言った、「ダビデとは
何者だ。エッサイの息子とは何者だ。近ごろ主人のもとから脱走する奴隷が多くなっている。
011わたしのパン、わたしの水、それに毛を刈る者のた
めに屠った肉を、どこの誰とも分からない者にやれるだろうか」。
012ダビデの従者たちは来た道を引き返して戻ってくる と、ダビデに事の次第を報告した。
013するとダビデは部下に、「各々剣を帯びよ」と命じ
た。彼らは各々剣を帯び、ダビデも剣を帯びた。そしておよそ四百人の者がダビデに従って上って行き、二百人が補給物資の所に残っ
た。
014さて、召使の一人がナバルの妻アビガイルに告げて
言った、「ダビデが旦那さまに挨拶しようと荒れ野から使いを送ってきましたが、旦那さまは彼らをののしりました。
015あの人たちはわたしたちにとても親切でした。わた
したちは、野に出ていたときずっと一緒でしたが、困らされたこともなく、何か損害を受けたこともありませんでした。
016わたしたちが彼らと一緒にいて羊を飼っている間
じゅう、昼も夜も、彼らはわたしたちの防壁となってくれました。
017しかし今、何をなすべきか、よくご判断ください。
旦那さまやご一家のすべての者に、危害が加えられようとしているのです。旦那さまはああいうひどい方ですから、誰も何も言えない
のです」。
018そこでアビガイルは、急いで、パン二百個、ぶどう
酒の革袋二つ、下ごしらえした羊五匹、いり麦五セア、干しぶどうの塊百個、干しいちじくの塊二百個を取って、これをろばに載せ た。
019そして、自分の召使たちに、「先に行きなさい。わ
たしは後からついて行きます」と言った。しかし、彼女はこのことを夫ナバルには知らせなかった。
020彼女がろばに乗って山陰を下って行くと、ちょうど
ダビデとその部下が彼女の方に下って来るのに出会った。
021ダビデはこう言ったばかりだった、「わたしは荒れ
野であの男の物をみな守ってやり、お陰で彼の物は何一つ損害を受けなかった。しかし、それは無駄なことだった。あの男はわたしの
善に悪を返した。
022もしわたしが、夜明けまでに、彼に属する男どもの
うち一人でも残しておくなら、神がダビデにそれ相応の罰を、否、それ以上の罰を与えられるように」。
023アビガイルはダビデを見ると、急いでろばを下り、
ダビデの前で顔が地面につくほどひれ伏して拝して言った、
024「わたしのあるじよ、お咎めはわたしがお受けしま
す。どうぞ耳をお貸しください。あなたのはしための言葉をお聞きください。
025わたしのあるじは、あのひどい男、ナバルのことな
ど気になさらないでください。あの人は名前のとおりの人間です。ナバルの名のとおり、愚かなのです。あなたのはしためのわたし
は、あなたがお遣わしになった従者たちを見ませんでした。
026ですから、わたしのあるじよ、生ける主と生けるあ
なたご自身に誓って申します。あなたが流血騒ぎを起こすのをやめ、自ら手を下して復讐することを抑えられたのは主です。あなたの
敵、また、あなたに害を加えようとする者どもは、今にナバルのようになりますように。
027あなたのはしためが持ってまいりましたこの贈り物 を、あなたの従者たちにお与えください。
028どうか、このはしための失礼をお許しください。主
は必ずわたしのあるじのために堅固な家をお建てになるでしょう。わたしのあるじは主の戦いを戦っておられるからです。あなたのご
生涯を通して、あなたのうちにいかなる悪も見出されることはないでしょう。
029人が立ち上がってあなたを追い回し、命を狙って
も、わたしのあるじの命は、あなたの神、主のもとで生ける者の群れの中に包まれていて安全です。そして主は、あなたの敵の命を、
石投げのくぼみの石のようにはじき飛ばしてしまわれることでしょう。
030主が、わたしのあるじについて約束されたすべての
善いことを成就して、あなたをイスラエルの君主に任じられるとき、
031あなたがむやみに血を流し、自らの手で復讐したこ
とが良心の呵責となり、また、わたしのあるじにとって心の痛みとなることがありませんように。主がわたしのあるじに成功をもたら
された時には、あなたのはしためを思い起こしてください」。
032ダビデはアビガイルに言った、「今日、あなたを遣
わし、わたしに会わせてくださったイスラエルの神、主はほめたたえられますように。
033あなたの賢明さが祝福されるように。今日、わたし
に流血の騒ぎを起こさせず、自らの手で復讐することを止めてくれたあなたは祝福されるように。
034しかし、イスラエルの生ける神、主に誓って言う。
主はわたしがあなたに害を加えるのを止めてくださったのだ。あなたが急いでわたしに会いに来てくれなかったなら、夜明けまでに
は、ナバルに属する男どもは一人も残っていなかったであろう」。
035ダビデは、彼女が持って来た物をその手から受け
取った。そして彼女にこう言った、「心安らかに家に帰りなさい。見よ、わたしはあなたの願いを聞き入れ、あなたの望みをかなえ
る」。
036アビガイルがナバルのもとに帰ってみると、彼は家
で、まるで王の宴会のような酒宴を催していた。ナバルは上機嫌であり、またひどく酔っていたので、彼女は夜が明けるまで何一つ報
告しなかった。
037朝になってナバルの酔いが醒めたとき、妻は事の次
第を彼に告げた。すると、彼は心臓の発作を起こし石のようになった。
038そしておよそ十日後に、主はナバルを打たれ、彼は 死んだ。
039ダビデは、ナバルが死んだと聞いてこう言った、
「主はほめたたえられますように。主はナバルから受けた侮辱に対するわたしの訴えを取り上げてくださり、この僕が悪を行うのを引
き留め、ナバルの悪をその頭上に返されたのだ」。そして、ダビデはアビガイルを妻に迎えたいと本人に申し入れるため、人を遣わし
た。
040ダビデの家来たちはカルメルのアビガイルの所に来
てこう言った、「ダビデはあなたを妻に迎えるために、わたしたちを遣わしました」。
041すると彼女は顔が地面につくほど伏して、「このは
しためは、わたしのあるじの僕の足を洗うはしためになりましょう」と言った。
042アビガイルは急いで立ってろばに乗り、彼女の五人
の侍女を後ろに従え、ダビデの使者の後について行った。こうしてアビガイルはダビデの妻となった。
043ダビデは、すでに、イズレエルのアヒノアムも娶っ ていたが、二人ともダビデの妻であった。
044ダビデの妻であったサウルの娘ミカルは、サウルが
ガリム出身のライシュの息子パルティに与えていた。
新共同訳1987
25:1
サムエルが死んだので、全イスラエルは集まり、彼を悼み、ラマにある彼の家に葬った。ダビデは立ってパランの荒れ野に下った。
25:2
一人の男がマオンにいた。仕事場はカルメルにあり、非常に裕福で、羊三千匹、山羊千匹を持っていた。彼はカルメルで羊の毛を刈っていた。
25:3
男の名はナバルで、妻の名はアビガイルと言った。妻は聡明で美しかったが、夫は頑固で行状が悪かった。彼はカレブ人であった。
25:4
荒れ野にいたダビデは、ナバルが羊の毛を刈っていると聞き、
25:5
十人の従者を送ることにして、彼らにこう言った。「カルメルに上り、ナバルを訪ね、わたしの名によって安否を問い、
25:6
次のように言うがよい。『あなたに平和、あなたの家に平和、あなたのものすべてに平和がありますように。
25:7
羊の毛を刈っておられると聞きました。あなたの牧童は我々のもとにいましたが、彼らを侮辱したことはありません。彼らがカルメルに滞在していた間、無く
なったものは何もないはずです。
25:8
あなたの従者に尋ねてくだされば、そう答えるでしょう。わたしの従者が御厚意にあずかれますように。この祝いの日に来たのですから、お手もとにあるものを
僕たちと、あなたの子ダビデにお分けください。』」
25:9
ダビデの従者は到着すると、教えられたとおりダビデの名によってナバルに告げ、答えを待った。
25:10
ナバルはダビデの部下に答えて言った。「ダビデとは何者だ、エッサイの子とは何者だ。最近、主人のもとを逃げ出す奴隷が多くなった。
25:11
わたしのパン、わたしの水、それに毛を刈る者にと準備した肉を取って素性の知れぬ者に与えろというのか。」
25:12
ダビデの従者は道を引き返して帰り着くと、言われたままをダビデに報告した。
25:13
ダビデは兵に、「各自、剣を帯びよ」と命じ、おのおの剣を帯び、ダビデも剣を帯びた。四百人ほどがダビデに従って進み、二百人は荷物のところにとどまっ
た。
25:14
ナバルの従者の一人がナバルの妻アビガイルに報告した。「ダビデは、御主人に祝福を述べようと荒れ野から使いをよこしたのに、御主人は彼らをののしりまし
た。
25:15
あの人たちは実に親切で、我々が野に出ていて彼らと共に移動したときも、我々を侮辱したりせず、何かが無くなったこともありません。
25:16
彼らのもとにいて羊を飼っているときはいつも、彼らが昼も夜も我々の防壁の役をしてくれました。
25:17
御主人にも、この家の者全体にも、災いがふりかかろうとしている今、あなたが何をなすべきか、しっかり考えてください。御主人はならず者で、だれも彼に話
しかけることができません。」
25:18
アビガイルは急いで、パンを二百、ぶどう酒の革袋を二つ、料理された羊五匹、炒り麦五セア、干しぶどう百房、干しいちじくの菓子を二百取り、何頭かのろば
に積み、
25:19
従者に命じた。「案内しなさい。後をついて行きます。」彼女は夫ナバルには何も言わなかった。
25:20
アビガイルが、ろばに乗って山陰を進んで行くと、向こうからダビデとその兵が進んで来るのに出会った。
25:21
ダビデはこう言ったばかりであった。「荒れ野で、あの男の物をみな守り、何一つ無くならぬように気を配ったが、それは全く無益であった。彼は善意に悪意を
もって報いた。
25:22
明日の朝の光が射すまでに、ナバルに属する男を一人でも残しておくなら、神がこのダビデを幾重にも罰してくださるように。」
25:23
アビガイルはダビデを見ると、急いでろばを降り、ダビデの前の地にひれ伏し礼をした。
25:24
彼女はダビデの足もとにひれ伏して言った。「御主人様、わたしが悪うございました。お耳をお貸しください。はしための言葉をお聞きください。
25:25
御主人様が、あのならず者ナバルのことなど気になさいませんように。名前のとおりの人間、ナバルという名のとおりの愚か者でございます。はしためは、お遣
わしになった使者の方々にお会いしてはいないのです。
25:26
主は生きておられ、あなた御自身も生きておられます。あなたを引き止め、流血の災いに手を下すことからあなたを守ってくださったのは主です。あなたに対し
て災難を望む者、あなたの敵はナバルのようになりましょう。
25:27
ここにある物は、はしためが持参した贈り物でございます。お足もとに仕える従者にお取らせくださいますように。
25:28
どうかはしための失礼をお許しください。主は必ずあなたのために確固とした家を興してくださいます。あなたは主の戦いをたたかわれる方で、生涯、悪いこと
があなたを襲うことはございませんから。
25:29
人が逆らって立ち、お命をねらって追い迫って来ても、お命はあなたの神、主によって命の袋に納められ、敵の命こそ主によって石投げ紐に仕掛けられ、投げ飛
ばされることでございましょう。
25:30
また、主が約束なさった幸いをすべて成就し、あなたをイスラエルの指導者としてお立てになるとき、
25:31
いわれもなく血を流したり、御自分の手で復讐なさったことなどが、つまずきや、お心の責めとなりませんように。主があなたをお恵みになるときには、はした
めを思い出してください。」
25:32
ダビデはアビガイルに答えた。「イスラエルの神、主はたたえられよ。主は、今日、あなたをわたしに遣わされた。
25:33
あなたの判断はたたえられ、あなたもたたえられよ。わたしが流血の罪を犯し、自分の手で復讐することを止めてくれた。
25:34
イスラエルの神、主は生きておられる。主は、わたしを引き止め、あなたを災いから守られた。あなたが急いでわたしに会いに来ていなければ、明日の朝の光が
射すころには、ナバルに一人の男も残されていなかっただろう。」
25:35
ダビデは、彼女の携えて来た贈り物を受け、彼女に言った。「平和に帰りなさい。あなたの言葉を確かに聞き入れ、願いを尊重しよう。」
25:36
アビガイルがナバルのもとへ帰ってみると、ナバルは家で王の宴会にも似た宴会の最中であった。ナバルは上機嫌で、かなり酔っていたので、翌朝、日が昇るま
で、彼女は事の大小を問わず何も話さなかった。
25:37
翌朝、ナバルの酔いがさめると、彼の妻は成り行きを話して聞かせた。ナバルは意識を無くして石のようになった。
25:38
十日ほどの後、主はナバルを打たれ、彼は死んだ。
25:39
ナバルが死んだと聞いたダビデは、「主はたたえられよ。主は、ナバルが加えた侮辱に裁きを下し、僕に悪を行わせず、かえって、ナバルの悪をナバルの頭に返
された」と言った。ダビデはアビガイルに人を遣わし、彼女を妻にしたいと申し入れた。
25:40
ダビデの部下がカルメルにいたアビガイルのもとに来て、「ダビデは我々をあなたのもとに遣わし、あなたを妻として迎えたいと言っています」と告げた。
25:41
彼女は立ち上がり、地に伏して礼をし、「わたしは御主人様の僕たちの足を洗うはしためになります」と答え、
25:42
すぐに立ち、急いでろばに乗り、彼女に仕える侍女を五人連れて、ダビデの使者の後に従った。アビガイルはダビデの妻となった。
25:43
ダビデはイズレエル出身のアヒノアムをめとっていたので、この二人がダビデの妻となった。
25:44
サウルは、ダビデの妻であった自分の娘ミカルを、ガリム出身のライシュの子パルティに与えた。
新改訳1970
25:1
サムエルが死んだとき、イスラエル人はみな集まって、彼のためにいたみ悲しみ、ラマにある彼の屋敷に葬った。ダビデはそこを立ってパランの荒野に下って
行った。
25:2
マオンにひとりの人がいた。彼はカルメルで事業をしており、非常に裕福であった。彼は羊三千頭、やぎ一千頭を持っていた。そのころ、彼はカルメルで羊の毛
の刈り取りの祝いをしていた。
25:3
この人の名はナバルといい、彼の妻の名はアビガイルといった。この女は聡明で美人であったが、夫は頑迷で行状が悪かった。彼はカレブ人であった。
25:4
ダビデはナバルがその羊の毛を刈っていることを荒野で聞いた。
25:5
それで、ダビデは十人の若者を遣わし、その若者たちに言った。「カルメルへ上って行って、ナバルのところに行き、私の名で彼に安否を尋ね、
25:6
こうあいさつしなさい。『あなたに平安がありますように。あなたの家に平安がありますように。また、あなたのすべてのものに平安がありますように。
25:7
私は今、羊の毛を刈る者たちが、あなたのところにいるのを聞きました。あなたの羊飼いたちは、私たちといっしょにいましたが、私たちは彼らに恥ずかしい思
いをさせたことはありませんでした。彼らがカルメルにいる間中、何もなくなりませんでした。
25:8
あなたの若者に尋ねてみてください。きっと、そう言うでしょう。ですから、この若者たちに親切にしてやってください。私たちは祝いの日に来たのですから。
どうか、このしもべたちと、あなたの子ダビデに、何かあなたの手もとにある物を与えてください。』」
25:9
ダビデの若者たちは行って、言われたとおりのことをダビデの名によってナバルに告げ、答えを待った。
25:10
ナバルはダビデの家来たちに答えて言った。「ダビデとは、いったい何者だ。エッサイの子とは、いったい何者だ。このごろは、主人のところを脱走する奴隷が
多くなっている。
25:11
私のパンと私の水、それに羊の毛の刈り取りの祝いのためにほふったこの肉を取って、どこから来たかもわからない者どもに、くれてやらなければならないの
か。」
25:12
それでダビデの若者たちは、もと来た道を引き返し、戻って来て、これら一部始終をダビデに報告した。
25:13
ダビデが部下に「めいめい自分の剣を身につけよ。」と命じたので、みな剣を身につけた。ダビデも剣を身につけた。四百人ほどの者がダビデについて上って行
き、二百人は荷物のところにとどまった。
25:14
そのとき、ナバルの妻アビガイルに、若者のひとりが告げて言った。「ダビデが私たちの主人にあいさつをするために、荒野から使者たちを送ったのに、ご主人
は彼らをののしりました。
25:15
あの人たちは私たちにたいへん良くしてくれたのです。私たちは恥ずかしい思いをさせられたこともなく、私たちが彼らと野でいっしょにいて行動を共にしてい
た間中、何もなくしませんでした。
25:16
私たちが彼らといっしょに羊を飼っている間は、昼も夜も、あの人たちは私たちのために城壁となってくれました。
25:17
今、あなたはどうすればよいか、よくわきまえてください。わざわいが私たちの主人と、その一家に及ぶことは、もう、はっきりしています。ご主人はよこしま
な者ですから、だれも話したがらないのです。」
25:18
そこでアビガイルは急いでパン二百個、ぶどう酒の皮袋二つ、料理した羊五頭、炒り麦五セア、干しぶどう百ふさ、干しいちじく二百個を取って、これをろばに
載せ、
25:19
自分の若者たちに言った。「私の先を進みなさい。私はあなたがたについて行くから。」ただ、彼女は夫ナバルには何も告げなかった。
25:20
彼女がろばに乗って山陰を下って来ると、ちょうど、ダビデとその部下が彼女のほうに降りて来るのに出会った。
25:21
ダビデは、こう言ったばかりであった。「私が荒野で、あの男が持っていた物をみな守ってやったので、その持ち物は何一つなくならなかったが、それは全くむ
だだった。あの男は善に代えて悪を返した。
25:22
もし私が、あしたの朝までに、あれのもののうちから小わっぱひとりでも残しておくなら、神がこのダビデを幾重にも罰せられるように。」
25:23
アビガイルはダビデを見るやいなや、急いでろばから降り、ダビデの前で顔を伏せて地面にひれ伏した。
25:24
彼女はダビデの足もとにひれ伏して言った。「ご主人さま。あの罪は私にあるのです。どうか、このはしためが、あなたにじかに申し上げることをお許しくださ
い。このはしためのことばを聞いてください。
25:25
ご主人さま。どうか、あのよこしまな者、ナバルのことなど気にかけないでください。あの人は、その名のとおりの男ですから。その名はナバルで、そのとおり
の愚か者です。このはしための私は、ご主人さまがお遣わしになった若者たちを見ませんでした。
25:26
今、ご主人さま。あなたが血を流しに行かれるのをとどめ、ご自分の手を下して復讐なさることをとどめられた主は生きておられ、あなたのたましいも生きてい
ます。どうか、あなたの敵、ご主人さまに対して害を加えようとする者どもが、ナバルのようになりますように。
25:27
どうぞ、この女奴隷が、ご主人さまに持ってまいりましたこの贈り物を、ご主人さまにつき従う若者たちにお与えください。
25:28
どうか、このはしためのそむきの罪をお赦しください。主は必ずご主人さまのために、長く続く家をお建てになるでしょう。ご主人さまは主の戦いを戦っておら
れるのですから、一生の間、わざわいはあなたに起こりません。
25:29
たとい、人があなたを追って、あなたのいのちをねらおうとしても、ご主人さまのいのちは、あなたの神、主によって、いのちの袋にしまわれており、主はあな
たの敵のいのちを石投げのくぼみに入れて投げつけられるでしょう。
25:30
主が、あなたについて約束されたすべての良いことを、ご主人さまに成し遂げ、あなたをイスラエルの君主に任じられたとき、
25:31
むだに血を流したり、ご主人さま自身で復讐されたりしたことが、あなたのつまずきとなり、ご主人さまの心の妨げとなりませんように。主がご主人さまをしあ
わせにされたなら、このはしためを思い出してください。」
25:32
ダビデはアビガイルに言った。「きょう、あなたを私に会わせるために送ってくださったイスラエルの神、主がほめたたえられますように。
25:33
あなたの判断が、ほめたたえられるように。また、きょう、私が血を流す罪を犯し、私自身の手で復讐しようとしたのをやめさせたあなたに、誉れがあるよう
に。
25:34
私をとどめて、あなたに害を加えさせられなかったイスラエルの神、主は生きておられる。もし、あなたが急いで私に会いに来なかったなら、確かに、明け方ま
でにナバルには小わっぱひとりも残らなかったであろう。」
25:35
ダビデはアビガイルの手から彼女が持って来た物を受け取り、彼女に言った。「安心して、あなたの家へ上って行きなさい。ご覧なさい。私はあなたの言うこと
を聞き、あなたの願いを受け入れた。」
25:36
アビガイルがナバルのところに帰って来ると、ちょうどナバルは自分の家で、王の宴会のような宴会を開いていた。ナバルが上きげんで、ひどく酔っていたの
で、アビガイルは明け方まで、何一つ彼に話さなかった。
25:37
朝になって、ナバルの酔いがさめたとき、妻がこれらの出来事を彼に告げると、彼は気を失って石のようになった。
25:38
十日ほどたって、主がナバルを打たれたので、彼は死んだ。
25:39
ダビデはナバルが死んだことを聞いて言った。「私がナバルの手から受けたそしりに報復し、このしもべが悪を行なうのを引き止めてくださった主が、ほめたた
えられますように。主はナバルの悪を、その頭上に返された。」その後、ダビデは人をやって、アビガイルに自分の妻になるよう申し入れ
た。
25:40
ダビデのしもべたちがカルメルのアビガイルのところに行ったとき、次のように話した。「ダビデはあなたを妻として迎えるために私たちを遣わしました。」
25:41
彼女はすぐに、地にひれ伏して礼をし、そして言った。「まあ。このはしためは、ご主人さまのしもべたちの足を洗う女奴隷となりましょう。」
25:42
アビガイルは急いで用意をして、ろばに乗り、彼女の五人の侍女をあとに従え、ダビデの使いたちのあとに従って行った。こうして彼女はダビデの妻となった。
25:43
ダビデはイズレエルの出のアヒノアムをめとっていたので、ふたりともダビデの妻となった。
25:44
サウルはダビデの妻であった自分の娘ミカルを、ガリムの出のライシュの子パルティに与えていた。
口語訳1955
25:1
さてサムエルが死んだので、イスラエルの人々はみな集まって、彼のためにひじょうに悲しみ、ラマにあるその家に彼を葬った。そしてダビデは立ってパランの
荒野に下って行った。
25:2
マオンに、ひとりの人があって、カルメルにその所有があり、ひじょうに裕福で、羊三千頭、やぎ一千頭を持っていた。彼はカルメルで羊の毛を切っていた。
25:3
その人の名はナバルといい、妻の名はアビガイルといった。アビガイルは賢くて美しかったが、その夫は剛情で、粗暴であった。彼はカレブびとであった。
25:4
ダビデは荒野にいて、ナバルがその羊の毛を切っていることを聞いたので、
25:5
十人の若者をつかわし、その若者たちに言った、「カルメルに上って行ってナバルの所へ行き、わたしの名をもって彼にあいさつし、
25:6
彼にこう言いなさい、『どうぞあなたに平安があるように。あなたの家に平安があるように。またあなたのすべての持ち物に平安があるように。
25:7
わたしはあなたが羊の毛を切っておられることを聞きました。あなたの羊飼たちはわれわれと一緒にいたのですが、われわれは彼らを少しも害しませんでした。
また彼らはカルメルにいる間に、何ひとつ失ったことはありません。
25:8
あなたの若者たちに聞いてみられるならば、わかります。それゆえ、わたしの若者たちに、あなたの好意を示してください。われわれは祝の日にきたのです。ど
うぞ、あなたの手もとにあるものを、贈り物として、しもべどもとあなたの子ダビデにください』」。
25:9
ダビデの若者たちは行って、ダビデの名をもって、これらの言葉をナバルに語り、そして待っていた。
25:10
ナバルはダビデの若者たちに答えて言った、「ダビデとはだれか。エッサイの子とはだれか。このごろは、主人を捨てて逃げるしもべが多い。
25:11
どうしてわたしのパンと水、またわたしの羊の毛を切る人々のためにほふった肉をとって、どこからきたのかわからない人々に与えることができようか」。
25:12
ダビデの若者たちは、そこを去り、帰ってきて、彼にこのすべての事を告げた。
25:13
そこでダビデは従者たちに言った、「おのおの、つるぎを帯びなさい」。彼らはおのおのつるぎを帯び、ダビデもまたつるぎを帯びた。そしておおよそ四百人が
ダビデに従って上っていき、二百人は荷物のところにとどまった。
25:14
ところで、ひとりの若者がナバルの妻アビガイルに言った、「ダビデが荒野から使者をつかわして、主人にあいさつをしたのに、主人はその使者たちをののしら
れました。
25:15
しかし、あの人々はわれわれに大へんよくしてくれて、われわれは少しも害を受けず、またわれわれが野にいた時、彼らと共にいた間は、何ひとつ失ったことは
ありませんでした。
25:16
われわれが羊を飼って彼らと共にいる間、彼らは夜も昼もわれわれのかきとなってくれました。
25:17
それで、あなたは今それを知って、自分のすることを考えてください。主人とその一家に災が起きるからです。しかも主人はよこしまな人で、話しかけることも
できません」。
25:18
その時、アビガイルは急いでパン二百、ぶどう酒の皮袋二つ、調理した羊五頭、いり麦五セア、ほしぶどう百ふさ、ほしいちじくのかたまり二百を取って、ろば
にのせ、
25:19
若者たちに言った、「わたしのさきに進みなさい。わたしはあなたがたのうしろに、ついて行きます」。しかし彼女は夫ナバルには告げなかった。
25:20
アビガイルが、ろばに乗って山陰を下ってきた時、ダビデと従者たちは彼女の方に向かって降りてきたので、彼女はその人々に出会った。
25:21
さて、ダビデはさきにこう言った、「わたしはこの人が荒野で持っている物をみな守って、その人に属する物を何ひとつなくならないようにしたが、それは全く
むだであった。彼はわたしのした親切に悪をもって報いた。
25:22
もしわたしがあすの朝まで、ナバルに属するすべての者のうち、ひとりの男でも残しておくならば、神が幾重にもダビデを罰してくださるように」。
25:23
アビガイルはダビデを見て、急いで、ろばを降り、ダビデの前で地にひれ伏し、
25:24
その足もとに伏して言った、「わが君よ、このとがをわたしだけに負わせてください。しかしどうぞ、はしために、あなたの耳に語ることを許し、はしための言
葉をお聞きください。
25:25
わが君よ、どうぞ、このよこしまな人ナバルのことを気にかけないでください。あの人はその名のとおりです。名はナバルで、愚かな者です。あなたのはしため
であるわたしは、わが君なるあなたがつかわされた若者たちを見なかったのです。
25:26
それゆえ今、わが君よ、主は生きておられます。またあなたは生きておられます。主は、あなたがきて血を流し、また手ずから、あだを報いるのをとどめられま
した。どうぞ今、あなたの敵、およびわが君に害を加えようとする者は、ナバルのごとくになりますように。
25:27
今、あなたのつかえめが、わが君に携えてきた贈り物を、わが君に従う若者たちに与えてください。
25:28
どうぞ、はしためのとがを許してください。主は必ずわが君のために確かな家を造られるでしょう。わが君が主のいくさを戦い、またこの世に生きながらえられ
る間、あなたのうちに悪いことが見いだされないからです。
25:29
たとい人が立ってあなたを追い、あなたの命を求めても、わが君の命は、生きている者の束にたばねられて、あなたの神、主のもとに守られるでしょう。しかし
主はあなたの敵の命を、石投げの中から投げるように、投げ捨てられるでしょう。
25:30
そして主があなたについて語られたすべての良いことをわが君に行い、あなたをイスラエルのつかさに任じられる時、
25:31
あなたが、ゆえなく血を流し、またわが君がみずからあだを報いたと言うことで、それがあなたのつまずきとなり、またわが君の心の責めとなることのないよう
にしてください。主がわが君を良くせられる時、このはしためを思いだしてください」。
25:32
ダビデはアビガイルに言った、「きょう、あなたをつかわして、わたしを迎えさせられたイスラエルの神、主はほむべきかな。
25:33
あなたの知恵はほむべきかな。またあなたはほむべきかな。あなたは、きょう、わたしがきて血を流し、手ずからあだを報いることをとどめられたのです。
25:34
わたしがあなたを害することをとどめられたイスラエルの神、主はまことに生きておられる。もしあなたが急いでわたしに会いにこなかったならば、あすの朝ま
でには、ナバルのところに、ひとりの男も残らなかったでしょう」。
25:35
ダビデはアビガイルが携えてきた物をその手から受けて、彼女に言った、「あなたは無事にのぼって、家に帰りなさい。わたしはあなたの声を聞きいれ、あなた
の願いを許します」。
25:36
こうしてアビガイルはナバルのもとにきたが、見よ、彼はその家で、王の酒宴のような酒宴を開いていた。ナバルは心に楽しみ、ひじょうに酔っていたので、ア
ビガイルは明くる朝まで事の大小を問わず何をも彼に告げなかった。
25:37
朝になってナバルの酔いがさめたとき、その妻が彼にこれらの事を告げると、彼の心はそのうちに死んで、彼は石のようになった。
25:38
十日ばかりして主がナバルを撃たれたので彼は死んだ。
25:39
ダビデはナバルが死んだと聞いて言った、「主はほむべきかな。主はわたしがナバルの手から受けた侮辱に報いて、しもべが悪をおこなわないようにされた。主
はナバルの悪行をそのこうべに報いられたのだ」。ダビデはアビガイルを妻にめとろうと、人をつかわして彼女に申し込んだ。
25:40
ダビデのしもべたちはカルメルにいるアビガイルの所にきて、彼女に言った、「ダビデはあなたを妻にめとろうと、われわれをあなたの所へつかわしたので
す」。
25:41
アビガイルは立ち、地にひれ伏し拝して言った、「はしためは、わが君のしもべたちの足を洗うつかえめです」。
25:42
アビガイルは急いで立ち、ろばに乗って、五人の侍女たちを連れ、ダビデの使者たちに従って行き、ダビデの妻となった。
25:43
ダビデはまたエズレルのアヒノアムをめとった。彼女たちはふたりともダビデの妻となった。
25:44
ところでサウルはその娘、ダビデの妻ミカルを、ガリムの人であるライシの子パルテに与えた。
文
語訳1917
25:1
爰にサムエル死にしかばイスラエル人皆あつまりて之をかなしみラマにあるその家にてこれを葬むれりダビデたちてバランの野にくだる
25:2
マオンに一箇の人あり其所有はカルメルにあり其人甚だ大なる者にして三千の羊と一千の山羊をもちしがカルメルにて羊の毛を剪り居たり
25:3
其人の名はナバルといひ其妻の名はアビガルといふアビガルは賢く顔美き婦なりされど其夫は剛愎にして其爲すところ惡かりきかれはカレブの人なり
25:4 ダビデ野にありてナバルが其羊の毛を剪りをるを聞き
25:5 ダビデ十人の少者を遣はすダビデ其少者にいひけるはカルメルにのぼりナバルにいたりわが名をもてかれに安否をとひ
25:6 かくのごとくいへ願くは壽ながかれ爾平安なれ爾の家やすらかなれ爾が有ところの物みなやすらかなれ
25:7
我爾が羊毛を剪せをるを聞り爾の牧羊者は我らとともにありしが我らこれを害せざりきまたかれらがカルメルにありしあひだかれらの物何も失たることなし
25:8
爾の少者に問へかれら爾につげん願くは少者をして爾のまへに恩をえせしめよ我ら吉日に來る請ふ爾の手にあるところの物を爾の僕らおよび爾の子ダビデにあた
へよ
25:9 ダビデの少者いたりダビデの名をもって是らのことばの如くナバルに語りてやめり
25:10 ナバル、ダビデの僕にこたへていひけるはダビデは誰なるヱサイの子は誰なる此頃は主人をすてて遁逃るる僕おほし
25:11 我あにわがパンと水およびわが羊毛をきる者のために殺したる肉をとりて何處よりか知れざるところの人々にあたふべけんや
25:12 ダビデの少者ふりかへりて其道に就き歸りきたりて此等の言のごとくダビデに告ぐ
25:13
是においてダビデ其從者に爾らおのおの劍を帶よと言ければ各劍をおぶダビデもまた劍をおぶ而して四百人ばかりダビデにしたがひて上り二百人は輜重のところ
に止れり
25:14
時にひとりの少者ナバルの妻アビガルに告ていひけるは視よダビデ野より使者をおくりて我らの主人を祝したるに主人かれらを詈れり
25:15
されどかの人々はわれらに甚だ善くなし我らは害をかうむらず亦われら野にありし時かれらとともにをるあひだはなにをも失なはざりき
25:16 我らが羊をかひて彼らとともにありしあひだ彼らは日夜われらの墻となれり
25:17
されば爾今しりてなにをなさんかを考ふべし其はわれらの主人および主人の全家に定めて害きたるべければなり主人は邪魔なる者にして語ることをえずと
25:18 アビガルいそぎパン二百酒の革嚢二?に調へたる羊五?麥五セア乾葡萄百球乾無花果の團塊二百を取て驢馬にのせ
25:19 其少者にいひけるは我先に進め視よ我爾らの後にゆくと然ど其夫ナバルには告げざりき
25:20 アビガル驢馬にのりて山の僻處にくだれる時視よダビデと其從者かれにむかひてくだりければかれ其人々にあふ
25:21
ダビデかつていひけるは誠にわれ徒に此人の野にて有る物をみなまもりてその物をして何もうせざらしめたりかれは惡をもてわが善にむくゆ
25:22
ねがはくは神ダビデの敵にかくなしまた重ねてかくなしたまへ明晨までに我はナバルに屬する總ての物の中ひとりの男をものこさざるべし
25:23 アビガル、ダビデを視しとき急ぎ驢馬よりおりダビデのまへに地に俯して拝し
25:24 其足もとにふしていひけるはわが主よ此咎を我に歸したまへ但し婢をして爾の耳にいふことを得さしめ婢のことばを聽たまへ
25:25
ねがはくは我主この邪なる人ナバル(愚)の事を意に介むなかれ其はかれは其名の如くなればなりかれの名はナバルにしてかれは愚なりわれなんぢの婢はわが主
のつかはせし少ものを見ざりき
25:26
さればわがしゆよヱホバはいくまたなんぢのたましひはいくヱホバなんぢのきたりて血をながしまた爾がみづから仇をむくゆるを阻めたまへりねがはくは爾の敵
たるものおよびわが主に害をくはへんとする者はナバルのごとくなれ
25:27 さて仕女がわが主にもちきたりしこの禮物をねがはくはわが主の足迹にあゆむ少者にたてまつらしめたまへ
25:28
請ふ婢の過をゆるしたまへヱホバ必ずわが主のために堅き家を立たまはん是はわが主ヱホバの軍に戰ふにより又世にいでてよりこのかた爾の身に惡きこと見えざ
るによりてなり
25:29
人たちて爾を追ひ爾の生命を求むれどもわが主の生命は爾の神ヱホバとともに生命の包裏の中に包みあり爾の敵の生命は投石器のうちより投すつる如くヱホバこ
れをなげすてたまはん
25:30 ヱホバその爾につきて語りたまひし諸の善き事をわが主になして爾をイスラエルの主宰に命じたまはん時にいたりて
25:31
爾の故なくして血をながしたることも又わが主のみづから其仇をむくいし事も爾の憂となることなくまたわが主の心の責となることなかるべし但しヱホバのわが
主に善くなしたまふ時にいたらばねがはくは婢を憶たまへ
25:32 ダビデ、アビガルにいふ今日汝をつかはして我をむかへしめたまふイスラエルの神ヱホバは頌美べきかな
25:33 また汝の智慧はほむべきかな又汝はほむべきかな汝今日わがきたりて血をながし自ら仇をむくゆるを止めたり
25:34
わが汝を害するを阻めたまひしイスラエルの神ヱホバは生く誠にもし汝いそぎて我を來り迎ずば必ず翌朝までにナバルの所にひとりの男ものこらざりしならんと
25:35
ダビデ、アビガルの携へきたりし物を其手より受てかれにいひけるは安かに汝の家にかへりのぼれ視よわれ汝の言をききいれて汝の顔を立たり
25:36
かくてアビガル、ナバルにいたりて視にかれは家に酒宴を設け居たり王の酒宴のごとしナバルの心これがために樂みて甚だしく酔たればアビガル多少をいはず何
をも翌朝までかれにつげざりき
25:37 朝にいたりナバルの酒のさめたる時妻かれに是等の事をつげたるに彼の心そのうちに死て其身石のごとくなりぬ
25:38 十日ばかりありてヱホバ、ナバルを撃ちたまひければ死り
25:39
ダビデ、ナバルの死たるを聞ていひけるはヱホバは頌美べきかなヱホバわが蒙むりたる恥辱の訟を理してナバルにむくい僕を阻めて惡をおこなはざらしめたまふ
其はヱホバ、ナバルの惡を其首に歸し賜へばなりと爰にダビデ、アビガルを妻にめとらんとて人を遣はしてこれとかたらはしむ
25:40 ダビデの僕カルメルにをるアビガルの許にいたりてこれにかたりいひけるはダビデ汝を妻にめとらんとて我らを汝に遣はすと
25:41 アビガルたちて地にふして拝しいひけるは視よ婢はわが主の僕等の足を洗ふ仕女なりと
25:42 アビガルいそぎたちて驢馬に乗り五人の侍女とともにダビデの使者にしたがひゆきてダビデの妻となる
25:43 ダビデまたヱズレルのアヒノアムを娶れり彼ら二人ダビデの妻となる
25:44 但しサウルはダビデの妻なりし其女ミカルをガリムの人なるライシの子パルテにあたへたり
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各国旧約聖書における新約聖書の引照
・・・標題区分内にある新約聖書引照のすべてを
拾う・・・
(英)AUTHORIZED
KING JAMES VERSION 1611・・・ZONDERVAN PUBLISHING HOUSE
1994
口語訳 ルカ 10:5
10:5
どこかの家にはいったら、まず『平安がこの家にあるように』と言いなさい。
口語訳 ロマ 12:19
12:19
愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。
わたし自身が報復する」と書いてあるからである。
口語訳 ルカ 1:68
1:68
「主なるイスラエルの神は、ほむべきかな。神はその民を顧みてこれをあがない、
口語訳 ルカ 7:50
7:50
しかし、イエスは女にむかって言われた、「あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」。
口語訳 ルカ 8:48
8:48
そこでイエスが女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」。
(米)THE NEW SCOFIELD STUDY BIBLE・・・NEW
YORK・OXFORD UNIVERSITY PRESS 1977
口語訳
ルカ 10:5
10:5 どこかの家にはいったら、まず『平安がこの家にあるように』と言いなさい。
口語訳
ヘブ 10:30
10:30
「復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と言われ、また「主はその民をさばかれる」と言われたかたを、わたしたちは知っている。
口語訳
コロ 3:3
3:3
あなたがたはすでに死んだものであって、あなたがたのいのちは、キリストと共に神のうちに隠されているのである。
口語訳
ルカ 1:68
1:68 「主なるイスラエルの神は、ほむべきかな。神はその民を顧みてこれをあがない、
口語訳
マコ 1:7
1:7
彼は宣べ伝えて言った、「わたしよりも力のあるかたが、あとからおいでになる。わたしはかがんで、そのくつのひもを解く値うちもない。
口語訳
ルカ 7:38
7:38
泣きながら、イエスのうしろでその足もとに寄り、まず涙でイエスの足をぬらし、自分の髪の毛でぬぐい、そして、その足に接吻して、香油を塗った。
口語訳
ルカ 7:44
7:44
それから女の方に振り向いて、シモンに言われた、「この女を見ないか。わたしがあなたの家にはいってきた時に、あなたは足を洗う水をくれなかった。ところ
が、この女は涙でわたしの足をぬらし、髪の毛でふいてくれた。
(仏)THE NEW JERUSALEM BIBLE・・・・DARYON,LONGMAN
& TODD 1985
口 語訳 黙 3:5
3:5 勝利を得る者は、この
ように白い衣を着せられるのである。わたしは、その名をいのちの書から消すようなことを、決してしない。また、わたしの父と御使たち
の前で、その名を言いあらわそう。
(独)DIE
BIBEL MARTIN LUTHERS 1534 ・・・DEUTSCHE
BIBELGESELLSCHAFT 1984
・・・・
(日)新共同訳・・・・日本聖書協会 1987
新共同 ロマ
12:19-21
12:19
愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。「『復讐はわたしのすること、わたしが報復する』と主は言われる」と書いてあります。
12:20
「あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませよ。そうすれば、燃える炭火を彼の頭に積むことになる。」
12:21
悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい。
新共同 ヘブ 10:30
10:30
「復讐はわたしのすること、/わたしが報復する」と言い、また、/「主はその民を裁かれる」と言われた方を、わたしたちは知っています。
新共同 ルカ 1:68
1:68
「ほめたたえよ、イスラエルの神である主を。主はその民を訪れて解放し、
新共同 マコ 1:7
1:7
彼はこう宣べ伝えた。「わたしよりも優れた方が、後から来られる。わたしは、かがんでその方の履物のひもを解く値打ちもない。
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