サムエル記上 26:1−25
ダビデ、サウルに雅量を示す
翻訳比較
聖書協会共同
訳2018
◆ダビデ、サウルと再び対面する
サム上 26:1 ジフの人々がギブアにやって来て、サウルに言った。「ダビデは砂漠に面した、ハキラの丘に隠れています。」
サム上
26:2 そこでサウルは立ち上がって、ジフの荒れ野でダビデを捜すために、イスラエルの精鋭三千を率いて、ジフの荒れ野に下って行った。
サム上
26:3 サウルは砂漠に面したハキラの丘の道の傍らに宿営した。ダビデは荒れ野にとどまっていたが、サウルが自分を追って荒れ野に下って来たことに気付
いた。
サム上 26:4 それで偵察させると、サウルが目の前まで来ていることを知った。
サム上
26:5 ダビデは立ち上がり、サウルが陣を敷いているその場所まで近づき、サウルとその将軍、ネルの子アブネルとが寝ている場所を見つけた。サウルは陣
営の中で寝ており、兵はその周りに宿営していた。
サム上
26:6 ダビデはヘト人アヒメレクと、ヨアブの兄弟でツェルヤの子アビシャイに言った。「私と一緒にサウルの陣地に下って行くのは誰か。」アビシャイが
答えた。「私が一緒に参ります。」
サム上
26:7 ダビデとアビシャイは夜になってから兵に近づいて行った。サウルは陣営の中で横になって眠っており、彼の槍はその枕元の地面に突き刺してあっ
た。アブネルと兵はその周りで眠っていた。
サム上
26:8 アビシャイはダビデに言った。「神は、今日、敵をあなたの手に渡されました。どうか、私に槍の一撃で刺し殺させてください。一度でしとめま
す。」
サム上 26:9 ダビデはアビシャイに言った。「殺してはならない。主が油を注がれた者に手を下すなら、罰を免れることはない。」
サム上
26:10 また、ダビデは言った。「主は生きておられる。時が来て死ぬにしろ、戦いに出て倒れるにしろ、主は必ずサウルを打たれる。
サム上
26:11 主が油を注がれた者に手を下すようなことを、主はお許しにならない。今は枕元の槍と水差しを取って立ち去ろう。」
サム上
26:12 ダビデはサウルの枕元から槍と水差しを取って、立ち去った。見ていた者も、気付いた者も、目を覚ました者もいなかった。主から送られた深い眠
りが彼らを襲い、皆眠り込んでいた。
サム上 26:13 ダビデは向こう側に渡り、遠く離れた山の頂に立った。サウルの陣営との隔たりは大きかった。
サム上
26:14 ダビデは兵とネルの子アブネルに向かって叫んだ。「アブネルよ、返事はないのか。」アブネルは答えた。「王に向かって叫ぶお前は誰だ。」
サム上
26:15 ダビデはアブネルに言った。「お前は男だろう。イスラエルにお前に並ぶ者がいるだろうか。お前はなぜ自分の主人である王を守れなかったのだ。
兵の一人がお前の主人である王を殺そうと忍び込んだのだ。
サム上
26:16 無様な事をしたものだ。主は生きておられる。お前たちは死に値する。主が油を注がれた者、お前たちの主人を守れなかったからだ。今、枕元の王
の槍と水差しがどこにあるか見ろ。」
サム上
26:17 サウルはダビデの声と気付いて言った。「この声はわが子、ダビデではないか。」ダビデは言った。「王様、私です。」
サム上
26:18 ダビデは続けた。「ご主君はなぜこの僕の後を追跡なさるのですか。私が何をしたというのでしょうか。私の手にどのような悪があるというので
しょうか。
サム上
26:19 王様。どうか僕の言葉をお聞きください。もし私に対し、主があなたを仕向けておられるのなら、供え物によって主はなだめられるでしょう。しか
し、もし人の手によるものなら、その者たちは主の前で呪われるでしょう。彼らはこの日、私を追い立て、主の所有地を奪い、『行って、
他の神々に仕えよ』と言ったからです。
サム上
26:20 どうか私の血が、主の前から遠く離れた地で流されませんように。まことにイスラエルの王は、山でしゃこを追うように、一匹の蚤を狙って出陣さ
れたのです。」
サム上
26:21 サウルは言った。「私は罪を犯した。わが子ダビデよ、帰って来なさい。今日、私の命を大切にしてくれたお前に、もう二度と危害を加えることは
ない。私は愚かにも大きな過ちを犯していた。」
サム上 26:22 ダビデは答えた。「王様の槍はここにあります。配下の者を一人よこし、これを持ち帰らせてください。
サム上
26:23 主は人の正しい行いと忠実さに応じて、それぞれに報いてくださいます。今日、主はあなたを私の手に渡されましたが、主が油を注がれた者に手を
下すことを、私は望みませんでした。
サム上
26:24 今日、私があなたの命を重んじたように、主も私の命を重んじ、あらゆる苦難から私を救ってくださいますように。」
サム上
26:25 サウルはダビデに言った。「わが子ダビデよ、お前に祝福があるように。お前がやろうとすることはすべて実現し、必ず成功するだろう。」こうし
て、ダビデは自分の道を行き、サウルは自分の場所に戻って行った。
フランシ スコ会訳2013
001ジフ人が、ギブアのサウルのもとに来てこう言っ
た、「ダビデは荒れ地に面したハキラの丘に隠れているではありませんか」。
002そこでサウルはジフの荒れ野にいるダビデを捜そう
と、イスラエルの選り抜きの兵三千人を率いてジフの荒れ野に下って行った。
003サウルは荒れ地に面したハキラの丘の道の傍らで宿
営した。そのころ、ダビデは荒れ野にいたが、サウルが自分を追って荒れ野に来たことを知った。
004それで、ダビデは斥候を出し、サウルが来たことを 確認した。
005そこでダビデは、サウルが宿営している場所へ行
き、サウルとネルの子で軍の司令官アブネルの寝ている場所を窺った。サウルは幕営の中に寝ており、兵士たちはその周囲に野営して
いた。
006ダビデはヘト人アヒメレクと、ツェルヤの子でヨア
ブの兄弟のアビシャイに言った、「誰がわたしと一緒に陣営のサウルの所に下って行くか」。するとアビシャイが、「わたしが一緒に
参ります」と言った。
007その夜、ダビデとアビシャイは兵士たちの所まで近
づいていった。サウルは幕営の中に横になって眠っており、その枕元には彼の槍が地面に突き刺してあった。アブネルと兵士たちは、
サウルを囲んで寝ていた。
008そこでアビシャイはダビデに言った、「今日、神
は、敵をあなたの手にお渡しになりました。さあ、どうかわたしにこの槍で一突き、彼を地に突き刺させてください。一度で仕留めま
す」。
009ダビデはアビシャイに言った、「彼を殺してはなら
ない。主の油注がれた者に手を下して、誰が罰を免れようか」。
010そして、こう言った、「生ける主に誓って言う。主
は必ず彼を打たれる。生涯の終わりが来て死ぬにしても、あるいは戦いに出て殺されるにしても。
011主の油注がれた方に、わたしが手を下すことを主は
禁じられる。さあ、枕元の槍と水差しを取れ。そして立ち去ろう」。
012ダビデはサウルの枕元から槍と水差しを取り、そし
て、二人は立ち去った。それを見た者も、それに気づいた者もなく、目を覚ました者もいなかった。みな、主が送られた深い眠りに襲
われて、眠りこけていた。
013ダビデは向こう側に渡って行き、遠く離れた山の頂
に立った。彼らの間にはかなりの隔たりがあった。
014ダビデは、兵士たちとネルの子アブネルに呼びかけ
て言った、「アブネル、返事をせよ」。アブネルはそれに応じて言った、「王に向かって叫ぶお前は何者だ」。
015ダビデはアブネルに言った、「お前は男だろう。イ
スラエルにお前に並ぶ者がいるだろうか。それなのに、どうしてお前はあるじである王の護衛の務めを怠ったのか。お前のあるじ、王
を殺そうとして、一人の兵が行ったのに。
016お前はなすべき務めを果たさなかった。生ける主に
誓って言う。お前たちは死に値する。お前たちのあるじ、主の油注がれた者を護衛しなかったからだ。さあ、王の槍は、枕元の水差し
はどこにあるか見てみよ」。
017サウルは、それがダビデの声だと知って、「わが
子、ダビデよ、お前の声か」と言った。ダビデは、「わが主君、王よ、わたしです」と答えて、
018こう言った、「わたしのあるじは、なぜ、僕の後を
追われるのですか。わたしが何をしたというのですか。わたしの手にどんな悪があるというのですか。
019わが主君、王よ、どうか僕の言うことに耳を傾けて
ください。わたしに敵対するよう、あなたを駆り立てている者が主であるのなら、主が献げ物を受け入れてくださいますように。しか
し、もしそれが人間であるなら、彼らは主の前で呪われますように。彼らは今日、わたしを追い出して、主ご自身のものにあずかれな
いようにし、『行ってほかの神々に仕えよ』と言ったからです。
020どうか主のもとを離れた所で、わたしの血を大地に
流さないでください。イスラエルの王は、山でしゃこを追うように、一匹の蚤を探しに出てこられたのです」。
021サウルは言った、「わたしは罪を犯した。わが子ダ
ビデ、帰ってきなさい。わたしはもうお前に害を加えない。今日、お前はわたしの命を尊んでくれたからだ。わたしは愚かな振る舞い
をし、大きな過ちを犯してしまった」。
022ダビデは言った、「ご覧ください。王の槍です。こ れを取りに、兵卒を一人よこしてください。
023主は各々その人の正しい行いと忠誠に報いてくださ
います。今日、主はあなたをわたしの手に渡されましたが、わたしは、主の油注がれた者に手を下そうとしませんでした。
024ご覧ください。今日、わたしがあなたの命を大切に
したように、主はわたしの命を大切にされ、わたしをあらゆる苦難から救ってくださいますように」。
025サウルはダビデに言った、「わが子ダビデよ、お前
に祝福があるように。お前は偉大な業を行い、必ずそれを成し遂げるだろう」。こうしてダビデはその道を歩み続け、サウルは自分の
所に帰った。
新共同訳1987
26:1
ジフ人がギブアに来てサウルに、「砂漠の手前、ハキラの丘にダビデが隠れている」と告げた。
26:2
サウルは立ってイスラエルの精鋭三千を率い、ジフの荒れ野に下って行き、ダビデをジフの荒れ野で捜した。
26:3
サウルは、砂漠の手前、道に沿ったハキラの丘に陣を敷いた。ダビデは荒れ野にとどまっていたが、サウルが彼を追って荒れ野に来たことを知り、
26:4
斥候を出して、サウルが来たことを確認した。
26:5
ダビデは立って、サウルが陣を敷いている所に近づき、サウルとサウルの軍の司令官、ネルの子アブネルが寝ている場所を見つけた。サウルは幕営の中で寝てお
り、兵士がその周りに宿営していた。
26:6
ダビデは、ヘト人アヒメレクとヨアブの兄弟、ツェルヤの子アビシャイに問いかけた。「サウルの陣地に、わたしと下って行くのは誰だ。」アビシャイが、「わ
たしがあなたと行きましょう」と答えた。
26:7
ダビデとアビシャイは夜になって兵士に近寄った。サウルは幕営の中に横になって眠り込んでおり、彼の槍はその枕もとの地面に突き刺してあった。アブネルも
兵士もその周りで眠っていた。
26:8
アビシャイはダビデに言った。「神は、今日、敵をあなたの手に渡されました。さあ、わたしに槍の一突きで彼を刺し殺させてください。一度でしとめます。」
26:9
ダビデはアビシャイに言った。「殺してはならない。主が油を注がれた方に手をかければ、罰を受けずには済まない。」
26:10
更に言った。「主は生きておられる。主がサウルを打たれるだろう。時が来て死ぬか、戦に出て殺されるかだ。
26:11
主が油を注がれた方に、わたしが手をかけることを主は決してお許しにならない。今は、枕もとの槍と水差しを取って立ち去ろう。」
26:12
ダビデはサウルの枕もとから槍と水差しを取り、彼らは立ち去った。見ていた者も、気づいた者も、目を覚ました者もなかった。主から送られた深い眠りが彼ら
を襲い、全員眠り込んでいた。
26:13
ダビデは向こう側に渡り、遠く離れた山の頂に立った。サウルの陣営との隔たりは大きかった。
26:14
ダビデは兵士に向かって、またネルの子アブネルに向かって呼ばわった。「アブネル、答えないのか。」アブネルは答えた。「王に呼ばわるお前は誰だ。」
26:15
ダビデはアブネルに言った。「お前も男だろう。お前に比べられる者は、イスラエルにいない。そのお前が、なぜ自分の主人である王を守れなかったのだ。敵兵
が一人、お前の主人である王を殺そうと忍び込んだのだ。
26:16
お前の行いは良くない。主は生きておられる。お前たちは死に値する。主が油を注がれた方、お前たちの主人を守れなかったからだ。さあ、枕もとの槍と水差し
がどこにあるか見てみよ。」
26:17
サウルはダビデの声と気づいて、言った。「この声はわが子、ダビデではないか。」ダビデは答えた。「わが主君、王よ。わたしの声です。」
26:18
ダビデは続けた。「わが主君はなぜわたしを追跡なさるのですか。わたしが何をしたというのでしょう。わたしの手にどんな悪があるというのでしょうか。
26:19
わが主君、王よ。僕の言葉をお聞きください。もし、王がわたしに対して憤られるように仕向けられたのが主であるなら、どうか、主が献げ物によってなだめら
れますように。もし、人間であるなら、主の御前に彼らが呪われますように。彼らは、『行け、他の神々に仕えよ』と言って、この日、主
がお与えくださった嗣業の地からわたしを追い払うのです。
26:20
どうか、わたしの血が主の御前を遠く離れた地で流されませんように。まことにイスラエルの王は、山でしゃこを追うかのように、蚤一匹をねらって出陣された
のです。」
26:21
サウルは言った。「わたしが誤っていた。わが子ダビデよ、帰って来なさい。この日わたしの命を尊んでくれたお前に、わたしは二度と危害を加えようとはしな
い。わたしは愚かであった。大きな過ちを犯した。」
26:22
ダビデは答えた。「王の槍はここにあります。従者を一人よこし、これを運ばせてください。
26:23
主は、おのおのに、その正しい行いと忠実さに従って報いてくださいます。今日、主はわたしの手にあなたを渡されましたが、主が油を注がれた方に手をかける
ことをわたしは望みませんでした。
26:24
今日、わたしがあなたの命を大切にしたように、主もわたしの命を大切にされ、あらゆる苦難からわたしを救ってくださいますように。」
26:25
サウルはダビデに言った。「わが子ダビデよ。お前に祝福があるように。お前は活躍し、また、必ず成功する。」ダビデは自分の道を行き、サウルは自分の場所
に戻って行った。
新改訳1970
26:1
ジフ人がギブアにいるサウルのところに来て言った。「ダビデはエシモンの東にあるハキラの丘に隠れているではありませんか。」
26:2
そこでサウルはすぐ、三千人のイスラエルの精鋭を率い、ジフの荒野にいるダビデを求めてジフの荒野へ下って行った。
26:3
サウルは、エシモンの東にあるハキラの丘で、道のかたわらに陣を敷いた。一方、ダビデは荒野にとどまっていた。ダビデはサウルが自分を追って荒野に来たの
を見たので、
26:4
斥候を送り、サウルが確かに来たことを知った。
26:5
ダビデは、サウルが陣を敷いている場所へ出て行き、サウルと、その将軍ネルの子アブネルとが寝ている場所を見つけた。サウルは幕営の中で寝ており、兵士た
ちは、その回りに宿営していた。
26:6
そこで、ダビデは、ヘテ人アヒメレクと、ヨアブの兄弟で、ツェルヤの子アビシャイとに言った。「だれか私といっしょに陣営のサウルのところへ下って行く者
はいないか。」するとアビシャイが答えた。「私があなたといっしょに下って行きます。」
26:7
ダビデとアビシャイは夜、民のところに行った。見ると、サウルは幕営の中で横になって寝ており、彼の槍が、その枕もとの地面に突き刺してあった。アブネル
も兵士たちも、その回りに眠っていた。
26:8
アビシャイはダビデに言った。「神はきょう、あなたの敵をあなたの手に渡されました。どうぞ私に、あの槍で彼を一気に地に刺し殺させてください。二度する
ことはいりません。」
26:9
しかしダビデはアビシャイに言った。「殺してはならない。主に油そそがれた方に手を下して、だれが無罪でおられよう。」
26:10
ダビデは言った。「主は生きておられる。主は、必ず彼を打たれる。彼はその生涯の終わりに死ぬか、戦いに下ったときに滅ぼされるかだ。
26:11
私が、主に油そそがれた方に手を下すなど、主の前に絶対にできないことだ。さあ、今は、あの枕もとにある槍と水差しとを取って行くことにしよう。」
26:12
こうしてダビデはサウルの枕もとの槍と水差しとを取り、ふたりは立ち去ったが、だれひとりとしてこれを見た者も、気づいた者も、目をさました者もなかっ
た。主が彼らを深い眠りに陥れられたので、みな眠りこけていたからである。
26:13
ダビデは向こう側へ渡って行き、遠く離れた山の頂上に立った。彼らの間には、かなりの隔たりがあった。
26:14
そしてダビデは、兵士たちとネルの子アブネルに呼びかけて言った。「アブネル。返事をしろ。」アブネルは答えて言った。「王を呼びつけるおまえはだれ
だ。」
26:15
ダビデはアブネルに言った。「おまえは男ではないか。イスラエル中で、おまえに並ぶ者があろうか。おまえはなぜ、自分の主君である王を見張っていなかった
のだ。兵士のひとりが、おまえの主君である王を殺しにはいり込んだのに。
26:16
おまえのやったことは良くない。主に誓って言うが、おまえたちは死に値する。おまえたちの主君、主に油そそがれた方を見張っていなかったからだ。今、王の
枕もとにあった王の槍と水差しが、どこにあるか見てみよ。」
26:17
サウルは、それがダビデの声だとわかって言った。「わが子ダビデよ。これはおまえの声ではないか。」ダビデは答えた。「私の声です。王さま。」
26:18
そして言った。「なぜ、わが君はこのしもべのあとを追われるのですか。私が何をしたというのですか。私の手に、どんな悪があるというのですか。
26:19
王さま。どうか今、このしもべの言うことを聞いてください。もし私にはむかうようにあなたに誘いかけられたのが主であれば、主はあなたのささげ物を受け入
れられるでしょう。しかし、それが人によるのであれば、主の前で彼らがのろわれますように。彼らはきょう、私を追い払って、主のゆず
りの地にあずからせず、行ってほかの神々に仕えよ、と言っているからです。
26:20
どうか今、私が主の前から去って、この血を地面に流すことがありませんように。イスラエルの王が、山で、しゃこを追うように、一匹の蚤をねらって出て来ら
れたからです。」
26:21
サウルは言った。「私は罪を犯した。わが子ダビデ。帰って来なさい。私はもう、おまえに害を加えない。きょう、私のいのちがおまえによって助けられたから
だ。ほんとうに私は愚かなことをして、たいへんなまちがいを犯した。」
26:22
ダビデは答えて言った。「さあ、ここに王の槍があります。これを取りに、若者のひとりをよこしてください。
26:23
主は、おのおの、その人の正しさと真実に報いてくださいます。主はきょう、あなたを私の手に渡されましたが、私は、主に油そそがれた方に、この手を下した
くはありませんでした。
26:24
きょう、私があなたのいのちをたいせつにしたように、主は私のいのちをたいせつにして、すべての苦しみから私を救い出してくださいます。」
26:25
サウルはダビデに言った。「わが子ダビデ。おまえに祝福があるように。おまえは多くのことをするだろうが、それはきっと成功しよう。」こうしてダビデは自
分の旅を続け、サウルは自分の家へ帰って行った。
口語訳1955
26:1
そのころジフびとがギベアにおるサウルのもとにきて言った、「ダビデは荒野の前にあるハキラの山に隠れているではありませんか」。
26:2
サウルは立って、ジフの荒野でダビデを捜すために、イスラエルのうちから選んだ三千人をひき連れて、ジフの荒野に下った。
26:3
サウルは荒野の前の道のかたわらにあるハキラの山に陣を取った。ダビデは荒野にとどまっていたが、サウルが自分のあとを追って荒野にきたのを見て、
26:4
斥候を出し、サウルが確かにきたのを知った。
26:5
そしてダビデは立って、サウルが陣を取っている所へ行って、サウルとその軍の長、ネルの子アブネルの寝ている場所を見た。サウルは陣所のうちに寝ていて、
民はその周囲に宿営していた。
26:6
ダビデは、ヘテびとアヒメレク、およびゼルヤの子で、ヨアブの兄弟であるアビシャイに言った、「だれがわたしと共にサウルの陣に下って行くか」。アビシャ
イは言った、「わたしが一緒に下って行きます」。
26:7
こうしてダビデとアビシャイとが夜、民のところへ行ってみると、サウルは陣所のうちに身を横たえて寝ており、そのやりは枕もとに地に突きさしてあった。そ
してアブネルと民らとはその周囲に寝ていた。
26:8
アビシャイはダビデに言った、「神はきょう敵をあなたの手に渡されました。どうぞわたしに、彼のやりをもってひと突きで彼を地に刺しとおさせてください。
ふたたび突くには及びません」。
26:9
しかしダビデはアビシャイに言った、「彼を殺してはならない。主が油を注がれた者に向かって、手をのべ、罪を得ない者があろうか」。
26:10
ダビデはまた言った、「主は生きておられる。主が彼を撃たれるであろう。あるいは彼の死ぬ日が来るであろう。あるいは戦いに下って行って滅びるであろう。
26:11
主が油を注がれた者に向かって、わたしが手をのべることを主は禁じられる。しかし今、そのまくらもとにあるやりと水のびんを取りなさい。そしてわれわれは
去ろう」。
26:12
こうしてダビデはサウルの枕もとから、やりと水のびんを取って彼らは去ったが、だれもそれを見ず、だれも知らず、また、だれも目をさまさず、みな眠ってい
た。主が彼らを深く眠らされたからである。
26:13
ダビデは向こう側に渡って行って、遠く離れて山の頂に立った。彼らの間の隔たりは大きかった。
26:14
ダビデは民とネルの子アブネルに呼ばわって言った、「アブネルよ、あなたは答えないのか」。アブネルは答えて言った、「王を呼んでいるあなたはだれか」。
26:15
ダビデはアブネルに言った、「あなたは男ではないか。イスラエルのうちに、あなたに及ぶ人があろうか。それであるのに、どうしてあなたは主君である王を守
らなかったのか。民のひとりが、あなたの主君である王を殺そうとして、はいりこんだではないか。
26:16
あなたがしたこの事は良くない。主は生きておられる。あなたがたは、まさに死に値する。主が油をそそがれた、あなたの主君を守らなかったからだ。いま王の
やりがどこにあるか。その枕もとにあった水のびんがどこにあるかを見なさい」。
26:17
サウルはダビデの声を聞きわけて言った、「わが子ダビデよ、これはあなたの声か」。ダビデは言った、「王、わが君よ、わたしの声です」。
26:18
ダビデはまた言った、「わが君はどうしてしもべのあとを追われるのですか。わたしが何をしたのですか。わたしの手になんのわるいことがあるのですか。
26:19
王、わが君よ、どうぞ、今しもべの言葉を聞いてください。もし主があなたを動かして、わたしの敵とされたのであれば、どうぞ主が供え物を受けて和らいでく
ださるように。もし、それが人であるならば、どうぞその人々が主の前にのろいを受けるように。彼らが『おまえは行って他の神々に仕え
なさい』と言って、きょう、わたしを追い出し、主の嗣業にあずかることができないようにしたからです。
26:20
それゆえ今、主の前を離れて、わたしの血が地に落ちることのないようにしてください。イスラエルの王は、人が山で、しゃこを追うように、わたしの命を取ろ
うとして出てこられたのです」。
26:21
その時、サウルは言った、「わたしは罪を犯した。わが子ダビデよ、帰ってきてください。きょう、わたしの命があなたの目に尊く見られたゆえ、わたしは、も
はやあなたに害を加えないであろう。わたしは愚かなことをして、非常なまちがいをした」。
26:22
ダビデは答えた、「王のやりは、ここにあります。ひとりの若者に渡ってこさせ、これを持ちかえらせてください。
26:23
主は人おのおのにその義と真実とに従って報いられます。主がきょう、あなたをわたしの手に渡されたのに、わたしは主が油を注がれた者に向かって、手をのべ
ることをしなかったのです。
26:24
きょう、わたしがあなたの命を重んじたように、どうぞ主がわたしの命を重んじて、もろもろの苦難から救い出してくださるように」。
26:25
サウルはダビデに言った、「わが子ダビデよ、あなたはほむべきかな。あなたは多くの事をおこなって、それをなし遂げるであろう」。こうしてダビデはその道
を行き、サウルは自分の所へ帰った。
文
語訳1917
26:1 ジフ人ギベアにきたりサウルの許にいたりてひけるはダビデは曠野のまへなるハキラの山にかくれをるにあらずやと
26:2 サウルすなはち起ちジフの野にダビデを尋ねんとイスラエルの中より選みたる三千の人をしたがへてジフの野にくだる
26:3
サウルは曠野のまへなるハキラの山において路のほとりに陣を取るダビデは曠野に居てサウルのおのれをおふて曠野にきたるをさとりければ
26:4 ダビデ斥候を出してサウルの誠に來しをしれり
26:5
ここにおいてダビデたちてサウルの陣をとれるところにいたりサウルおよび其軍の長ネルの子アブネルの寝たるところを見たりすなはちサウルは車營の中に寝ぬ
民其まはりに陣をはれり
26:6
ダビデ答へてヘテ人アヒメレクおよびゼルヤの子にしてヨアブの兄弟なるアビシヤイにいひけるは誰か我とともにサウルの陣にくだらんかとアビシヤイいふ我汝
とともに下らん
26:7
ダビデとアビシヤイすなはち夜にいりて民の所にいたるに視よサウルは車營のうちに寝臥し其槍地にさして枕邊にありアブネルと民は其まはりに寝たり
26:8
アビシヤイ、ダビデにいひけるは神今日爾の敵を爾の手にわたしたまふ請ふいま我に槍をもてかれを一度地にさしとほさしめよ再びするにおよばじ
26:9 ダビデ、アビシヤイにいふ彼をころすなかれ誰かヱホバの膏そそぎし者に敵して其手をのべて罪なからんや
26:10 ダビデまたいひけるはヱホバは生くヱホバかれを撃たまはんあるひはその死ぬる日來らんあるひは戰ひにくだりて死うせん
26:11
わがヱホバのあぶらそそぎしものに敵して手をのぶることはきはめて善らずヱホバ禁じたまふされどいま請ふ爾そのまくらもとの槍と水の瓶をとれしかして我ら
さりゆかんと
26:12
ダビデ、サウルの枕邊より槍と水の瓶を取りてかれらさりゆきしが誰も見ず誰もしらず誰も目を醒さざりき其はかれら皆眠り居たればなり即ちヱホバかれらをふ
かく睡らしめたまふ
26:13 かくてダビデは彼旁にわたりて遥に山の頂にたてり彼と此とのへだたり大なり
26:14 ダビデ民とネルの子アブネルによばはりいひけるはアブネルよ爾こたへざるかアブネルこたへていふ王をよぶ爾はたれなるや
26:15
ダビデ、アブネルにいひけるは爾は勇士ならずやイスラエルの中にて誰か爾に如ものあらんしかるに爾なんぞ爾の主なる王をまもらざるや民のひとり爾の主なる
王を殺さんとていりぬ
26:16
爾がなせる此事よからずヱホバは生くなんぢらの罪死にあたれり爾らヱホバの膏そそぎし爾らの主をまもらざればなり今王の槍と王の枕邊にありし水の瓶はいづ
くにあるかを見よ
26:17 サウル、ダビデの聲をしりていひけるはわが子ダビデよ是は爾の聲なるかダビデいひけるは王わが主よわが聲なり
26:18 ダビデまたいひけるはわが主なにゆゑに斯くその僕をおふや我なにをなせしや何の惡き事わが手にあるや
26:19
王わが主よ請ふいま僕の言を聽きたまへ若しヱホバ爾を我に敵せしめたまふならばねがはくはヱホバ禮物をうけたまへされど若し人ならばねがはくは其人々ヱホ
バのまへにのろはれよ其は彼等爾ゆきて他の神につかへよといひて今日我を追ひヱホバの?業に連なることをえざらしむるが故なり
26:20
ねがはくは我血をしてヱホバのまへをはなれて地におちしむるなかれそは人の山にて鷓鴣をおふがごとくイスラエルの王一の蚤をたづねにいでたればなり
26:21
サウルいひけるは我罪ををかせりわが子ダビデよ歸れわが生命今日爾の目に寶と見なされたる故により我々かさねて爾に害を加へざるべし嗚呼われ愚なることを
なして甚だしく過てり
26:22 ダビデこたへていひけるは王よ槍を視よ請ひとりの少者をしてわたりてこれを取しめよ
26:23
ねがはくはヱホバおのおのに其義と眞實とにしたがひて報いたまへ共はヱホバ今日爾をわが手にわたしたまひしに我ヱホバの受膏者に敵してわが手をのぶること
をせざればなり
26:24 爾の生命を今日わがおもんぜしごとくねがはくはヱホバわが生命をおもんじて諸の艱難のうちより我をすくひいだしたまへ
26:25
サウル、ダビデにいひけるはわが子ダビデよ爾はほむべきかな爾大なる事を爲さん亦かならず勝をえんとしかしてダビデは其道にさりサウルはおのれの所にかへ
れり
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各国旧約聖書における新約聖書の引照
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(英)AUTHORIZED
KING JAMES VERSION 1611・・・ZONDERVAN PUBLISHING HOUSE
1994
口 語訳 ルカ
18:7
18:7
まして神は、日夜叫び求める選民のために、正しいさばきをしてくださらずに長い間そのままにしておかれることがあろうか。
口 語訳 ロマ
12:19
12:19
愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。
わたし自身が報復する」と書いてあるからである。
(米)THE NEW SCOFIELD STUDY BIBLE・・・NEW
YORK・OXFORD UNIVERSITY PRESS 1977
口語訳
ロマ 12:19
12:19
愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復す
る」と書いてあるからである。
口語訳
ヘブ 10:30
10:30
「復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と言われ、また「主はその民をさばかれる」と言われたかたを、わたしたちは知っている。
口語訳
ロマ 12:17-19
12:17 だれに対しても悪をもって悪に報いず、すべての人に対して善を図りなさい。
12:18 あなたがたは、できる限りすべての人と平和に過ごしなさい。
12:19
愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復す
る」と書いてあるからである。
口語訳
Tペテ3:9
3:9
悪をもって悪に報いず、悪口をもって悪口に報いず、かえって、祝福をもって報いなさい。あなたがたが召されたのは、祝福を受け継ぐためなのである。
(仏)THE NEW JERUSALEM BIBLE・・・・DARYON,LONGMAN
& TODD 1985
・・・・
(独)DIE
BIBEL MARTIN LUTHERS 1534 ・・・DEUTSCHE
BIBELGESELLSCHAFT 1984
・・・・
(日)新共同訳・・・・日本聖書協会 1987
新共同 ルカ 18:7
18:7
まして神は、昼も夜も叫び求めている選ばれた人たちのために裁きを行わずに、彼らをいつまでもほうっておかれることがあろうか。
新共同 ロマ 12:19
12:19
愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。「『復讐はわたしのすること、わたしが報復する』と主は言われる」と書いてあります。
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