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マルコ5:1−20

ゲラサの豚

 

翻訳比較

 

岩波翻訳委員会訳1995

410501さて、彼らは海の向こう岸に着き、ゲラサ人たちの地方にやって来た。

410502彼が舟から出て来ると、すぐに一人の穢れた霊に憑かれた男が墓場から出て来て、彼に出会った。

410503この男は、墓場を住みかとし、何人ももはや鎖で縛っておくことができないほどになっていた。

410504彼は〔これまでも〕しばしば足椥(あしかせ)や鎖で縛りつけられたが、鎖を引きちぎり、足椥を砕き去ってしまい、誰一人彼をおとなしくさせることができなかったのである。

410505また彼は、昼夜を分かたず、墓場や山の中にいて叫び続け、また石で自らを打って傷つけていた。

410506そして彼は、イエスを見ると遠くから走って来て、彼を伏し拝んだ。

410507そして大声で叫びながら言う、「いと高き神の子イエスよ、お前は俺と何の関係があるのだ。神かけてお前に頼む、後生だから俺を苦しめるな」。

410508というのは、イエスが彼に、「穢れた霊よ、この人から出て行け」と言ったからである。

410509そしてイエスは彼にたずねた、「お前の名は何というのだ」。すると彼はイエスに言う、「俺の名はレギオンだ。俺たちは大勢だからだ」。

410510そして自分たちをこの地方の外に追い出さないように、彼に懸命に乞い願う。

410511ところで、その山のふもとの当地に、豚の巨大な群が飼われていた。

410512そこで彼らはイエスに乞い願って言った、「俺たちをあの豚どもの中に送ってくれ。あいつらの中に入るから」。

410513そこで彼は彼らに〔それを〕許した。すると穢れた霊どもは出て行って、豚の中に入った。そこで二千匹ほどのその群は、崖を下って海へなだれ込み、海中で〔かたはしから〕溺れ死んで行った。

410514すると、それら〔の豚〕を飼っていた者たちは逃げ去り、その町および〔近くの〕

里に〔いた者たちにことの次第を〕告げ知らせた。そこで彼らは、なにごとが起こったのか見に来た。

410515そして彼らはイエスのもとに来て、悪霊に憑かれていた者すなわち「レギオン」を持っていた者が着物を身にまとい、正気のさまで座っているの

を見る。そこで彼らは恐れた。

410516そして、〔先の出来事を〕見ていた者たちは、悪霊に憑かれていた者に起こったことについて、また豚〔の群の最期〕について、彼らにくわしく語した。

410517そこで彼らは、自分たちの地域から出て行くようにイエスに乞い願い始めた。

410518そこで彼が舟に乗ると、悪霊に憑かれていた者は、彼と共にいることを許して

くれるように彼に乞い願っ〔て止まなかっ〕た。

410519しかし彼は彼〔にそれ〕を許さず、

むしろ彼に言う、「あなたの家に行き、あなたの身内の者たちのところに〔戻りなさい〕。そして主があなたに何をして下さったか、いかにあなたを憐れんで下さったかを、彼らに告げ知らせなさい」。

410520そこで彼は出て行って、イエスが彼に何をなしてくれたかをデカポリスで宣べ伝え始めた。そして、あらゆる人々が驚いていた。

 

新共同訳1987

5:1 一行は、湖の向こう岸にあるゲラサ人の地方に着いた。

5:2 イエスが舟から上がられるとすぐに、汚れた霊に取りつかれた人が墓場からやって来た。

5:3 この人は墓場を住まいとしており、もはやだれも、鎖を用いてさえつなぎとめておくことはできなかった。

5:4 これまでにも度々足枷や鎖で縛られたが、鎖は引きちぎり足枷は砕いてしまい、だれも彼を縛っておくことはできなかったのである。

5:5 彼は昼も夜も墓場や山で叫んだり、石で自分を打ちたたいたりしていた。

5:6 イエスを遠くから見ると、走り寄ってひれ伏し、

5:7 大声で叫んだ。「いと高き神の子イエス、かまわないでくれ。後生だから、苦しめないでほしい。」

5:8 イエスが、「汚れた霊、この人から出て行け」と言われたからである。

5:9 そこで、イエスが、「名は何というのか」とお尋ねになると、「名はレギオン。大勢だから」と言った。

5:10 そして、自分たちをこの地方から追い出さないようにと、イエスにしきりに願った。

5:11 ところで、その辺りの山で豚の大群がえさをあさっていた。

5:12 汚れた霊どもはイエスに、「豚の中に送り込み、乗り移らせてくれ」と願った。

5:13 イエスがお許しになったので、汚れた霊どもは出て、豚の中に入った。すると、二千匹ほどの豚の群れが崖を下って湖になだれ込み、湖の中で次々とおぼれ死んだ。

5:14 豚飼いたちは逃げ出し、町や村にこのことを知らせた。人々は何が起こったのかと見に来た。

5:15 彼らはイエスのところに来ると、レギオンに取りつかれていた人が服を着、正気になって座っているのを見て、恐ろしくなった。

5:16 成り行きを見ていた人たちは、悪霊に取りつかれた人の身に起こったことと豚のことを人々に語った。

5:17 そこで、人々はイエスにその地方から出て行ってもらいたいと言いだした。

5:18 イエスが舟に乗られると、悪霊に取りつかれていた人が、一緒に行きたいと願った。

5:19 イエスはそれを許さないで、こう言われた。「自分の家に帰りなさい。そして身内の人に、主があなたを憐れみ、あなたにしてくださったことをことごとく知らせなさい。」

5:20 その人は立ち去り、イエスが自分にしてくださったことをことごとくデカポリス地方に言い広め始めた。人々は皆驚いた。

 

前田訳1978

5:1 やがて彼らは湖の向こう岸のゲラサ人の地に着いた。

5:2 イエスが舟からお降りになると、すぐ、けがれた霊につかれた人が墓から出て来て彼を迎えた。

5:3 この人は墓を住処とし、もはやだれも彼を鎖でつなぐことはできなかった。

5:4 たびたび足かせや鎖でつないだが、鎖はちぎられ、足かせはこわされて、だれも彼を縛りえなかった。

5:5 そして夜昼いつも墓や山で叫んだり、石で自分を打ったりしていた。

5:6 ところで、遠くからイエスを見ると、駆けて来てひれ伏し、

5:7 大声で叫んでいう、「何のご用ですか、いと高き神の子イエスさま。お願いですからわたしを苦しめないでください」と。

5:8 これはイエスが「けがれた霊、この人から出よ」といわれたからである。

5:9 そして彼に問われた、「何という名か」と。彼はいう、「軍団と申します。大勢ですから」と。

5:10 そして、この地から追い出さないように、しきりにお願いした。

5:11 そこの山の中腹で豚の大群が草を食んでいた。

5:12 それで霊どもは彼に願った。「われらを豚につかわしてその中に入らせてください」と。

5:13 おゆるしになると、けがれた霊は豚に入った。群れは二千匹ほどであったが、崖を下って湖になだれ込み、湖でおぼれた。

5:14 豚飼いらはのがれて町にも里にも知らせたので、人々が何がおこったかと見に来た。

5:15 人々はイエスのところに来て、軍団につかれていた人が着物を着て正気になってすわっているのを見ると、おそれおののいた。

5:16 目撃者は悪霊つきにおこったことや豚のことを彼らに物語った。

5:17 そこで彼らはイエスに自分たちの地方を出られるよう願った。

5:18 イエスが舟に乗られると、悪霊につかれていたものがお伴を願い出た。

5:19 しかしゆるさずにいわれた、「家に帰って身うちのものに主があなたをあわれんでなさったことのすべてを告げよ」と。

5:20 そこで彼は去って、イエスが彼になさったことすべてをデカポリスに伝えはじめた。皆がおどろいた。

 

新改訳1970

5:1 こうして彼らは湖の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。

5:2 イエスが舟から上がられると、すぐに、汚れた霊につかれた人が墓場から出て来て、イエスを迎えた。

5:3 この人は墓場に住みついており、もはやだれも、鎖をもってしても、彼をつないでおくことができなかった。

5:4 彼はたびたび足かせや鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせも砕いてしまったからで、だれにも彼を押えるだけの力がなかったのである。

5:5 それで彼は、夜昼となく、墓場や山で叫び続け、石で自分のからだを傷つけていた。

5:6 彼はイエスを遠くから見つけ、駆け寄って来てイエスを拝し、

5:7 大声で叫んで言った。「いと高き神の子、イエスさま。いったい私に何をしようというのですか。神の御名によってお願いします。どうか私を苦しめないでください。」

5:8 それは、イエスが、「汚れた霊よ。この人から出て行け。」と言われたからである。

5:9 それで、「おまえの名は何か。」とお尋ねになると、「私の名はレギオンです。私たちは大ぜいですから。」と言った。

5:10 そして、自分たちをこの地方から追い出さないでくださいと懇願した。

5:11 ところで、そこの山腹に、豚の大群が飼ってあった。

5:12 彼らはイエスに願って言った。「私たちを豚の中に送って、彼らに乗り移らせてください。」

5:13 イエスがそれを許されたので、汚れた霊どもは出て行って、豚に乗り移った。すると、二千匹ほどの豚の群れが、険しいがけを駆け降り、湖へなだれ落ちて、湖におぼれてしまった。

5:14 豚を飼っていた者たちは逃げ出して、町や村々でこの事を告げ知らせた。人々は何事が起こったのかと見にやって来た。

5:15 そして、イエスのところに来て、悪霊につかれていた人、すなわちレギオンを宿していた人が、着物を着て、正気に返ってすわっているのを見て、恐ろしくなった。

5:16 見ていた人たちが、悪霊につかれていた人に起こったことや、豚のことを、つぶさに彼らに話して聞かせた。

5:17 すると、彼らはイエスに、この地方から離れてくださるよう願った。

5:18 それでイエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人が、お供をしたいとイエスに願った。

5:19 しかし、お許しにならないで、彼にこう言われた。「あなたの家、あなたの家族のところに帰り、主があなたに、どんなに大きなことをしてくださったか、どんなにあわれんでくださったかを、知らせなさい。」

5:20 そこで、彼は立ち去り、イエスが自分にどんなに大きなことをしてくださったかを、デカポリスの地方で言い広め始めた。人々はみな驚いた。

 

塚本訳1963

5:1 かくて湖の向う岸、ゲラサ人の地に着いた。

5:2 イエスが舟からあがられると、すぐ、汚れた霊につかれたひとりの人が墓場から出てきて、イエスを迎えた。

5:3 この人は墓場を住家としていたが、もはやだれも、鎖ですらつないでおくことが出来なかった。

5:4 幾たびか足桎と鎖でつないだが、鎖を引きちぎり、足桎を打ちこわして、だれの手にもおえなかったのである。

5:5 どなったり、体を石でなぐったりしながら、夜も昼も、いつも墓場や山にいた。

5:6 遠くの方でイエスを見ると、駆けてきてひざまずき、

5:7 大声で叫んだ、「いと高き神の子のイエス様、『放っておいてください。』後生だから、どうぞわたしを苦しめないでください。」

5:8 これはイエスが「汚れた霊、その人から出てゆけ」と言われたからである。

5:9 「あなたの名はなんというか」とお尋ねになると、「名は軍団です、大勢だからです」とこたえる。

5:10 また、この土地から追い出さないようにとしきりに願った。

5:11 折から、そこの山の中腹で豚の大きな群が草を食っていた。

5:12 霊どもは、「わたしどもをあの豚の中にやって、あれに乗り移らせてください」と願った。

5:13 お許しになると、汚れた霊どもは(その人から)出ていって豚に乗り移った。すると二千匹ばかりの群はけわしい坂をどっと湖へなだれこみ、湖で溺れて死んだ。

5:14 豚飼たちは逃げ出して、町や部落に知らせたので、何事がおこったのかと人々が見に来た。

5:15 彼らはイエスの所に来て、前に一軍団の悪鬼につかれていた者が着物をき、正気にかえってじっと座っているのを見ると、恐ろしくなった。

5:16 また(現場を)見ていた人たちは、悪鬼につかれていた者におこったことや豚のことを、その人々に話してきかせた。

5:17 人々は聞いて(気味わるくなり)、イエスにその土地からでて行ってもらいたいと頼んだ。

5:18 そこで舟に乗られると、悪鬼につかれていた者が、ついて行きたいと願った。

5:19 しかし許さずに言われた、「家に帰ってうちの者に、(神なる)主があなたを憐れんで、どんなにえらいことをしてくださったかを、知らせてやりなさい。」

5:20 すると彼は行って、イエスがどんなにえらいことを自分にされたかを、デカポリスに言いふらし始めた。皆が驚いた。

 

口語訳1955

5:1 こうして彼らは海の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。

5:2 それから、イエスが舟からあがられるとすぐに、けがれた霊につかれた人が墓場から出てきて、イエスに出会った。

5:3 この人は墓場をすみかとしており、もはやだれも、鎖でさえも彼をつなぎとめて置けなかった。

5:4 彼はたびたび足かせや鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせを砕くので、だれも彼を押えつけることができなかったからである。

5:5 そして、夜昼たえまなく墓場や山で叫びつづけて、石で自分のからだを傷つけていた。

5:6 ところが、この人がイエスを遠くから見て、走り寄って拝し、

5:7 大声で叫んで言った、「いと高き神の子イエスよ、あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。神に誓ってお願いします。どうぞ、わたしを苦しめないでください」。

5:8 それは、イエスが、「けがれた霊よ、この人から出て行け」と言われたからである。

5:9 また彼に、「なんという名前か」と尋ねられると、「レギオンと言います。大ぜいなのですから」と答えた。

5:10 そして、自分たちをこの土地から追い出さないようにと、しきりに願いつづけた。

5:11 さて、そこの山の中腹に、豚の大群が飼ってあった。

5:12 霊はイエスに願って言った、「わたしどもを、豚にはいらせてください。その中へ送ってください」。

5:13 イエスがお許しになったので、けがれた霊どもは出て行って、豚の中へはいり込んだ。すると、その群れは二千匹ばかりであったが、がけから海へなだれを打って駆け下り、海の中でおぼれ死んでしまった。

5:14 豚を飼う者たちが逃げ出して、町や村にふれまわったので、人々は何事が起ったのかと見にきた。

5:15 そして、イエスのところにきて、悪霊につかれた人が着物を着て、正気になってすわっており、それがレギオンを宿していた者であるのを見て、恐れた。

5:16 また、それを見た人たちは、悪霊につかれた人の身に起った事と豚のこととを、彼らに話して聞かせた。

5:17 そこで、人々はイエスに、この地方から出て行っていただきたいと、頼みはじめた。

5:18 イエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人がお供をしたいと願い出た。

5:19 しかし、イエスはお許しにならないで、彼に言われた、「あなたの家族のもとに帰って、主がどんなに大きなことをしてくださったか、またどんなにあわれんでくださったか、それを知らせなさい」。

5:20 そこで、彼は立ち去り、そして自分にイエスがしてくださったことを、ことごとくデカポリスの地方に言いひろめ出したので、人々はみな驚き怪しんだ。

 

文語訳1917

"410501","かくて海の彼方なるゲラセネ人の地に到る。"

"410502","イエスの舟より上り給ふとき、穢れし靈に憑かれたる人、墓より出でて直ちに遇ふ。"

"410503","この人、墓を住處とす、鏈にてすら今は誰も繋ぎ得ず。"

"410504","彼はしばしば足械と鏈とにて繋がれたれど、鏈をちぎり、足械をくだきたり、誰も之を制する力なかりしなり。"

"410505","夜も晝も、絶えず墓あるひは山にて叫び、己が身を石にて傷つけゐたり。"

"410506","かれ遥にイエスを見て、走りきたり、御前に平伏し、"

"410507","大聲に叫びて言ふ『いと高き神の子イエスよ、我は汝と何の關係あらん、神によりて願ふ、我を苦しめ給ふな』"

"410508","これはイエス『穢れし靈よ、この人より出で往け』と言ひ給ひしに因るなり。"

"410509","イエスまた『なんぢの名は何か』と問ひ給へば『わが名はレギオン、我ら多きが故なり』と答へ、"

"410510","また己らを此の地の外に逐ひやり給はざらんことを切に求む。"

"410511","彼處の山邊に豚の大なる群、食しゐたり。"

"410512","惡鬼どもイエスに求めて言ふ『われらを遣して豚に入らしめ給へ』"

"410513","イエス許したまふ。穢れし靈いでて、豚に入りたれば、二千匹ばかりの群、海に向ひて崖を駈けくだり、海に溺れたり。"

"410514","飼ふ者ども逃げ往きて、町にも里にも告げたれば、人々何事の起りしかを見んとて出づ。"

"410515","かくてイエスに来り、惡鬼に憑かれたりし者、即ちレギオンをもちたりし者の、衣服をつけ、慥なる心にて坐しをるをゥて、懼れあへり。"

"410516","かの悪鬼に憑かれたる者の上にありし事と、豚の事とを見し者ども、之を具に告げたれば、"

"410517","人々イエスにその境を去り給はん事を求む。"

"410518","イエス舟に乘らんとし給ふとき、惡鬼に憑かれたりしもの偕に在らん事を願ひたれど、"

"410519","許さずして言ひ給ふ『なんぢの家に、親しき者に歸りて、主がいかに大なる事を汝に爲し、いかに汝を憫み給ひしかを告げよ』"

"410520","彼ゆきて、イエスの如何に大なる事を己になし給ひしかを、デカポリスに言ひ弘めたれば、人々みな怪しめり。"

 

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各国聖書引照

 

(日)並行個所・・・・・・塚本虎二訳

塚本訳 マタ 8:28-34

8:28 かくて向う岸、ガダラ人の地にお着きになると、悪鬼につかれた者が二人、墓場から出てきてイエスを迎えた。彼らは非常に狂暴で、だれもその道を通ることが出来なかった。

8:29 彼らはいきなり叫んだ、「神のお子様、『放っておいてください。』まだ時でもないのに、わたしどもを苦しめるためにここに来られたのか。」

8:30 折から、はるかかなたに多くの豚の群が草を食っていた。

8:31 悪鬼どもは、「わたしどもを追い出されるなら、あの豚の中にやってください」と願った。

8:32 イエスが「行ってよろしい」と言われると、悪鬼どもは(二人から)出ていって豚に入った。すると群衆は皆(気がちがったように)けわしい坂をどっと湖へなだれこみ、水の中で死んでしまった。

8:33 豚飼たちは逃げ出して町に行き、ことの一部始終、ことに悪鬼につかれていた者に起ったことを知らせた。

8:34 すると町中(の者)がイエスに会いに出てきて、イエスに会うと、その土地を去られるようにと頼んだ。

 

塚本訳 ルカ 8:26-39

8:26 かくて一行はガリラヤの向い側にあるゲラサ人の地に渡った。

8:27 イエスが陸にあがられると、その町の者で、悪鬼につかれた一人の男が迎えた。この男は長い間着物を着ず、また家にすまずに墓場にすんでいた。

8:28 イエスを見ると、叫びながらその前にひれ伏し、大声で言った、「いと高き神の子のイエス様、『放っておいてください。』お願いです、わたしを苦しめないでください。」

8:29 これはイエスが汚れた霊に、その人から出てゆけと命じたからである。汚れた霊は何度も何度もその人をつかんだ。いかに鎖と足桎でつながれ監視されていても、その繋ぎをひきちぎり、悪鬼に追われて荒野にいったのである。

8:30 「あなたの名はなんというか」とイエスがお尋ねになると、「軍団です」とこたえた。悪鬼が大勢、(一軍団も)彼の中に入りこんでいたからである。

8:31 また、地の底に行くことをお命じにならぬようにと願った。

8:32 折から、そこの山で多くの豚の群が草を食っていた。悪鬼どもは、それに乗り移ることを許されたいと願った。お許しになると、

8:33 悪鬼どもはその人から出ていって豚に乗り移った。すると群は(気がちがったように)けわしい坂をどっと湖へなだれこみ、溺れて死んだ。

8:34 豚飼たちはこの出来事を見て逃げ出し、町や部落に知らせた。

8:35 人々はこの出来事を見に出て来たが、イエスの所に来て、悪鬼を追い出された人が着物をき、正気にかえって、イエスの足もとにじっと坐っているのを見ると、恐ろしくなった。

8:36 また(現場を)見ていた人たちは、悪鬼につかれていた者がどんな風にして救われたかを、その人々に知らせた。

8:37 ゲラサ地方の住民は皆すっかりおびえ切って、イエスに自分たち(の所)からでて行ってもらいたいと頼んだ。そこでイエスは舟に乗って帰られた。

8:38 (帰ろうとされる時に、)悪鬼を追い出された男がお供をしたいと願ったが、(許さず、)こう言ってお帰しになった、

8:39 「家に帰って、神がどんなにえらいことをしてくださったかを、(みんなに)話してきかせなさい。」すると彼は行って、イエスがどんなにえらいことを自分にされたかを、町中に言いふらした。

 

(独)NESTLE-ALAND  NOVUM TESTAMENTUM  GRAECE 27版1993 の引照

新共同 マコ 1:24

1:24 「ナザレのイエス、かまわないでくれ。我々を滅ぼしに来たのか。正体は分かっている。神の聖者だ。」

 

新共同 マコ 3:11

3:11 汚れた霊どもは、イエスを見るとひれ伏して、「あなたは神の子だ」と叫んだ。

 

(英・米)THE NEW TREASURY OF SCRIPTURE KNOWLEDGE 1982 の引照

口語訳 ピリ 2:10

2:10 それは、イエスの御名によって、天上のもの、地上のもの、地下のものなど、あらゆるものがひざをかがめ、

 

口語訳 ロマ 9:5

9:5 また父祖たちも彼らのものであり、肉によればキリストもまた彼らから出られたのである。万物の上にいます神は、永遠にほむべきかな、アァメン。

 

口語訳 ロマ 1:4

1:4 聖なる霊によれば、死人からの復活により、御力をもって神の御子と定められた。これがわたしたちの主イエス・キリストである。

 

口語訳 Tコリ6:11

6:11 あなたがたの中には、以前はそんな人もいた。しかし、あなたがたは、主イエス・キリストの名によって、またわたしたちの神の霊によって、洗われ、きよめられ、義とされたのである。

 

口語訳 Uコリ2:14

2:14 しかるに、神は感謝すべきかな。神はいつもわたしたちをキリストの凱旋に伴い行き、わたしたちをとおしてキリストを知る知識のかおりを、至る所に放って下さるのである。

 

口語訳 ピリ 1:23

1:23 わたしは、これら二つのものの間に板ばさみになっている。わたしの願いを言えば、この世を去ってキリストと共にいることであり、実は、その方がはるかに望ましい。

 

(日)新共同訳1987 の引照

新共同 使  16:17

16:17 彼女は、パウロやわたしたちの後ろについて来てこう叫ぶのであった。「この人たちは、いと高き神の僕で、皆さんに救いの道を宣べ伝えているのです。」

 

新共同 ヘブ 7:1

7:1 このメルキゼデクはサレムの王であり、いと高き神の祭司でしたが、王たちを滅ぼして戻って来たアブラハムを出迎え、そして祝福しました。

 

新共同 エペ 2:1-3

2:1 さて、あなたがたは、以前は自分の過ちと罪のために死んでいたのです。

2:2 この世を支配する者、かの空中に勢力を持つ者、すなわち、不従順な者たちの内に今も働く霊に従い、過ちと罪を犯して歩んでいました。

2:3 わたしたちも皆、こういう者たちの中にいて、以前は肉の欲望の赴くままに生活し、肉や心の欲するままに行動していたのであり、ほかの人々と同じように、生まれながら神の怒りを受けるべき者でした。

 

(仏)THE NEW JERUSALEM BIBLE 1985 の引照

 

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マルコ5:21−43

ヤイロの娘と長血の女

 

翻訳比較

 

岩波翻訳委員会訳1995

410521さて、イエスが[舟に乗って]再び向こう岸に渡った時、多くの群衆が彼のもとに集まった。そして彼は海辺にいた。

410522すると会堂長の一人でヤイロスという名の者がやって来る。そして彼を見て、その足もとにひれ伏し、

410523必死に乞い願って言う、「私の小娘が死ぬところです。どうか、おいで下さり、娘に両手を置いてやって下さい。そうすれば娘は救われ、生きることができます」。

410524そこでイエスは彼と共に行った。

すると多くの群衆が彼に従い彼に押し迫り始めた。

410525さて、〔ここに〕十二年もの間、血が流れ出て止まらない一人の女がいた。

410526多くの医者にさんざん苦しめられて、持っている財をすべて使い果たしてしまった

が、何の役にも立たず、むしろいっそう悪くなった。

410527彼女はイエスのことを聞き、群衆にまぎれて後ろからやって来て、彼の着物に触った。

410528「あの方の着物にでもいいから触れば、私は救われる」と彼女は思っていたからである。

410529するとすぐに彼女の血の元が乾き、彼女は自分が病の苦しみから癒されたことを体で悟った。

410530イエスは、自分から力が出て行ったことを自らの中ですぐに知り、群衆の中

で振り返って言った、「私の着物に触ったのは誰か」。

410531そこで彼の弟子たちが彼に言った、「群衆があなたに押し迫っているのを見て〔おられるはずなのに〕、『私に触ったのは誰だ』〔など〕と言われるのですか」。

410532しかし彼は、このことをなした者を見ようと、あたりを見まわしていた。

410533一方彼女は、自分に起こったことを知り、

恐れ、また戦(おのの)き、やって来て彼のもとにひれ伏して、彼に一切をつつみ隠さず語った。

410534そこで彼は彼女に言った、「娘よ、あなたの信仰が今あなたを救ったのだ。

安らかに行きなさい。そしてあなたの苦しみから解かれて、達者でいなさい」。

410535彼がまだ話している時、会堂長〔の家〕から人々が来て言う、「あなたの娘御は亡くなりました。もはや先生を煩わすにはおよばないのではないですか」。

410536しかしイエスは、彼らが言ったことを聞き流して、会堂長に言う、「恐れるな、いちずに信頼するのだ」。

410537そしてペトロとヤコブとヤコブの兄弟ヨハネのほかは、誰も彼に従ってくることを許さなかった。

410538そして彼らは会堂長の家に来る。そして彼は、激しく泣いたりわめいたりしている者たち〔の〕けたたましい騒ぎを目にする。

410539そこで彼は中に入って彼らに言う、「なぜあなたたちは、うるさく泣き騒いでい

るのか。子供は死んだのではなく、眠っている〔だけだ〕」。

410540そこで彼らは、彼をあざ笑い出した。しかしながら彼は、皆を外に追い出し、子供の父母と自分と共にいた者たち〔だけ〕を連れ、子供がいるところに入って行く。

410541そして子供の手を取って、彼女に言う、「タリタ・クム」。これは訳すれば、「少女よ、私はあなたに言う、起きなさい」という意味である。

410542するとすぐに少女は立ち上がり、歩きまわり始めた。十二歳だったからである。そこで彼らは[すぐに]、正気を失うほど驚いた。

410543すると彼は、誰にもこのことを知らせるなと彼らに厳しく命令し、彼女に食事をとらせるよう告げた。

 

新共同訳1987

5:21 イエスが舟に乗って再び向こう岸に渡られると、大勢の群衆がそばに集まって来た。イエスは湖のほとりにおられた。

5:22 会堂長の一人でヤイロという名の人が来て、イエスを見ると足もとにひれ伏して、

5:23 しきりに願った。「わたしの幼い娘が死にそうです。どうか、おいでになって手を置いてやってください。そうすれば、娘は助かり、生きるでしょう。」

5:24 そこで、イエスはヤイロと一緒に出かけて行かれた。大勢の群衆も、イエスに従い、押し迫って来た。

5:25 さて、ここに十二年間も出血の止まらない女がいた。

5:26 多くの医者にかかって、ひどく苦しめられ、全財産を使い果たしても何の役にも立たず、ますます悪くなるだけであった。

5:27 イエスのことを聞いて、群衆の中に紛れ込み、後ろからイエスの服に触れた。

5:28 「この方の服にでも触れればいやしていただける」と思ったからである。

5:29 すると、すぐ出血が全く止まって病気がいやされたことを体に感じた。

5:30 イエスは、自分の内から力が出て行ったことに気づいて、群衆の中で振り返り、「わたしの服に触れたのはだれか」と言われた。

5:31 そこで、弟子たちは言った。「群衆があなたに押し迫っているのがお分かりでしょう。それなのに、『だれがわたしに触れたのか』とおっしゃるのですか。」

5:32 しかし、イエスは、触れた者を見つけようと、辺りを見回しておられた。

5:33 女は自分の身に起こったことを知って恐ろしくなり、震えながら進み出てひれ伏し、すべてをありのまま話した。

5:34 イエスは言われた。「娘よ、あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい。もうその病気にかからず、元気に暮らしなさい。」

5:35 イエスがまだ話しておられるときに、会堂長の家から人々が来て言った。「お嬢さんは亡くなりました。もう、先生を煩わすには及ばないでしょう。」

5:36 イエスはその話をそばで聞いて、「恐れることはない。ただ信じなさい」と会堂長に言われた。

5:37 そして、ペトロ、ヤコブ、またヤコブの兄弟ヨハネのほかは、だれもついて来ることをお許しにならなかった。

5:38 一行は会堂長の家に着いた。イエスは人々が大声で泣きわめいて騒いでいるのを見て、

5:39 家の中に入り、人々に言われた。「なぜ、泣き騒ぐのか。子供は死んだのではない。眠っているのだ。」

5:40 人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスは皆を外に出し、子供の両親と三人の弟子だけを連れて、子供のいる所へ入って行かれた。

5:41 そして、子供の手を取って、「タリタ、クム」と言われた。これは、「少女よ、わたしはあなたに言う。起きなさい」という意味である。

5:42 少女はすぐに起き上がって、歩きだした。もう十二歳になっていたからである。それを見るや、人々は驚きのあまり我を忘れた。

5:43 イエスはこのことをだれにも知らせないようにと厳しく命じ、また、食べ物を少女に与えるようにと言われた。

 

前田訳1978

5:21 イエスが舟でふたたび向う岸に渡られると、大勢の群衆が彼のところに集まって来た。彼は湖畔におられた。

5:22 そこへヤイロという名の一会堂司が来て、彼を見るとお足もとにひれ伏し、

5:23 ことばを重ねて願う、「わたしの小さな娘が死にそうです。いらしてお手をのせてください、救われて、いのち拾いしますように」と。

5:24 そこで同行された。大勢の群衆が従って行って彼に押しよせた。

5:25 十二年長血をわずらう女がいた。

5:26 多くの医者になやまされ、全財産を使いはたしたが、何にも役立たず、むしろ悪くなる一方であった。

5:27 イエスのことを聞いて群衆の中にまじって来て、うしろからお着物にさわった。

5:28 「お着物にでもさわれば救われよう」と思ったからである。

5:29 するとすぐ血のもとが乾いて、病がなおったことを身で感じた。

5:30 イエスは自分の中から力が出て行ったのをすぐ感じて、群衆の中で振り返っていわれた、「だれがわたしの着物にさわったのか」と。

5:31 弟子たちがいった、「ごらんのとおり群衆があなたに押しよせているのに、『だれがわたしにさわったか』とおっしゃるのですか」と。

5:32 イエスはこのことをした女を見ようとあたりを見まわしておられた。

5:33 女は自分におこったことを知っておそれおののき、イエスのところに来てひれ伏し、真相をすべてお話しした。

5:34 彼はいわれた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救った。安らかにお出かけなさい。病気しないで、いつも健やかで」と。

5:35 彼がまだお話しの最中に会堂司の家から人々が来ていった、「お嬢さまがなくなりました。どうしてなお先生をおわずらわしですか」と。

5:36 イエスはそういうのを聞いて会堂司にいわれる、「心配なく。ただ信ぜよ」と。

5:37 そして彼はペテロとヤコブの兄弟ヨハネのほかだれのお伴もゆるされなかった。

5:38 彼らは会堂司の家へ来た。人々がひどく泣き叫んでいる騒ぎをごらんになると、

5:39 中へ入っていわれる、「何を騒いで泣くのか。子は死んではいない。眠っているのだ」と。

5:40 しかし人々はイエスをあざ笑った。そこで彼は皆を外に出し、子の父と母とご自分のお伴といっしょに子のいるところにお入りになった。

5:41 そして子の手を取っていわれる、「タリタ、クミ」と。訳すと、「少女よ、あなたにいう、起きよ」である。

5:42 ただちに少女は立って歩きまわった、十二歳であったから。それを見るなり、人々はおどろきのあまりわれを忘れた。

5:43 彼はこのことをだれにも知らせぬよう彼らをきびしくいましめ、少女に食べ物を与えよといわれた。

 

新改訳1970

5:21 イエスが舟でまた向こう岸へ渡られると、大ぜいの人の群れがみもとに集まった。イエスは岸べにとどまっておられた。

5:22 すると、会堂管理者のひとりでヤイロという者が来て、イエスを見て、その足もとにひれ伏し、

5:23 いっしょうけんめい願ってこう言った。「私の小さい娘が死にかけています。どうか、おいでくださって、娘の上に御手を置いてやってください。娘が直って、助かるようにしてください。」

5:24 そこで、イエスは彼といっしょに出かけられたが、多くの群衆がイエスについて来て、イエスに押し迫った。

5:25 ところで、十二年の間長血をわずらっている女がいた。

5:26 この女は多くの医者からひどいめに会わされて、自分の持ち物をみな使い果たしてしまったが、何のかいもなく、かえって悪くなる一方であった。

5:27 彼女は、イエスのことを耳にして、群衆の中に紛れ込み、うしろから、イエスの着物にさわった。

5:28 「お着物にさわることでもできれば、きっと直る。」と考えていたからである。

5:29 すると、すぐに、血の源がかれて、ひどい痛みが直ったことを、からだに感じた。

5:30 イエスも、すぐに、自分のうちから力が外に出て行ったことに気づいて、群衆の中を振り向いて、「だれがわたしの着物にさわったのですか。」と言われた。

5:31 そこで弟子たちはイエスに言った。「群衆があなたに押し迫っているのをご覧になっていて、それでも『だれがわたしにさわったのか。』とおっしゃるのですか。」

5:32 イエスは、それをした人を知ろうとして、見回しておられた。

5:33 女は恐れおののき、自分の身に起こった事を知り、イエスの前に出てひれ伏し、イエスに真実を余すところなく打ち明けた。

5:34 そこで、イエスは彼女にこう言われた。「娘よ。あなたの信仰があなたを直したのです。安心して帰りなさい。病気にかからず、すこやかでいなさい。」

5:35 イエスが、まだ話しておられるときに、会堂管理者の家から人がやって来て言った。「あなたのお嬢さんはなくなりました。なぜ、このうえ先生を煩わすことがありましょう。」

5:36 イエスは、その話のことばをそばで聞いて、会堂管理者に言われた。「恐れないで、ただ信じていなさい。」

5:37 そして、ペテロとヤコブとヤコブの兄弟ヨハネのほかは、だれも自分といっしょに行くのをお許しにならなかった。

5:38 彼らはその会堂管理者の家に着いた。イエスは、人々が、取り乱し、大声で泣いたり、わめいたりしているのをご覧になり、

5:39 中にはいって、彼らにこう言われた。「なぜ取り乱して、泣くのですか。子どもは死んだのではない。眠っているのです。」

5:40 人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスはみんなを外に出し、ただその子どもの父と母、それにご自分の供の者たちだけを伴って、子どものいる所へはいって行かれた。

5:41 そして、その子どもの手を取って、「タリタ、クミ。」と言われた。(訳して言えば、「少女よ。あなたに言う。起きなさい。」という意味である。)

5:42 すると、少女はすぐさま起き上がり、歩き始めた。十二歳にもなっていたからである。彼らはたちまち非常な驚きに包まれた。

5:43 イエスは、このことをだれにも知らせないようにと、きびしくお命じになり、さらに、少女に食事をさせるように言われた。

 

塚本訳1963

5:21 イエスが舟でまた向う岸に渡られると、大勢の群衆が彼のところに集まってきた。彼は湖のほとりにおられた。

5:22 するとヤイロという一人の礼拝堂監督が来て、イエスを見ると足もとにひれ伏し、

5:23 しきりに願って言う、「わたしの小さな娘が死にかかっています。助かって命びろいをするように、どうか行って、手をのせてやってください。」

5:24 イエスは彼と一しょに出かけられた。大勢の群衆がイエスについて行って押しまくった。

5:25 すると十二年も長血をわずらって、

5:26 大勢の医者からひどい目にあわされて、財産を皆使いはたして、なんの甲斐もなくて、かえってますます悪くなって、

5:27 イエスのことを聞いて、群衆にまじってついて来た女が、後ろからその着物にさわった。

5:28 「お召物にでもさわれば、なおるにちがいない」と思ったのである。

5:29 はたしてすぐ血の源がかれて、病気が直ったのを身に感じた。

5:30 イエスは自分の中から力が出ていったのにすぐ気がついて、群衆の中で振り返ってたずねられた、「わたしの着物にさわったのはだれか。」

5:31 弟子たちが言った、「御覧のとおり群衆が押しまくっているのに、さわったのはだれか、とおしゃるのですか。」

5:32 イエスはこのことをした女を見つけようとして、(黙って)見まわしておられた。

5:33 女は自分(の身)におこったことを知っているので、恐ろしくなって震えながら、進み出てイエスの前にひれ伏し、すべてをありのままに話した。

5:34 イエスは言われた、「娘よ、あなたの信仰がなおしたのだ。さよなら、『平安あれ。』もう病気をせず、達者でいなさい。」

5:35 イエスがまだ話しておられるところに、礼拝堂監督の家から人々が来て(監督に)言った、「お嬢さんはもうなくなりました。どうしてこの上、先生にご迷惑をかけられるのですか。」

5:36 イエスはそう言っているのをそばで聞いて、監督に言われた、「こわがることはない。ただ信じておれ。」

5:37 そしてペテロとヤコブの兄弟のヨハネとのほかには、だれもついて来ることを許されなかった。

5:38 やがて監督の家に着いて、人々がひどく泣きわめいて騒いでいるのを見ると、

5:39 (家の)中に入って言われる、「なにを泣いたり騒いだりするのか。子供は死んではいない、眠っているのだ。」

5:40 人々はあざ笑っていた。しかしイエスは皆を外に出し、子供の父と母と、一しょに来た者(三人だけ)を連れて、(死んだ)子供のいる所に入ってゆかれる。

5:41 そして子供の手を取って、「タリタクミ!]と言われる。訳すると「少女よ、あなたに言う。起きなさい!」である。

5:42 ただちに少女は立ち上がって歩きまわった。十二歳になっていたからである。見るなり、人々は気が遠くなるほど驚いた。

5:43 イエスはだれにもこのことを知られるなときびしく人々に言いつけ、また子供に(何か)食べさせるようにと言われた。

 

口語訳1955

5:21 イエスがまた舟で向こう岸へ渡られると、大ぜいの群衆がみもとに集まってきた。イエスは海べにおられた。

5:22 そこへ、会堂司のひとりであるヤイロという者がきて、イエスを見かけるとその足もとにひれ伏し、

5:23 しきりに願って言った、「わたしの幼い娘が死にかかっています。どうぞ、その子がなおって助かりますように、おいでになって、手をおいてやってください」。

5:24 そこで、イエスは彼と一緒に出かけられた。大ぜいの群衆もイエスに押し迫りながら、ついて行った。

5:25 さてここに、十二年間も長血をわずらっている女がいた。

5:26 多くの医者にかかって、さんざん苦しめられ、その持ち物をみな費してしまったが、なんのかいもないばかりか、かえってますます悪くなる一方であった。

5:27 この女がイエスのことを聞いて、群衆の中にまぎれ込み、うしろから、み衣にさわった。

5:28 それは、せめて、み衣にでもさわれば、なおしていただけるだろうと、思っていたからである。

5:29 すると、血の元がすぐにかわき、女は病気がなおったことを、その身に感じた。

5:30 イエスはすぐ、自分の内から力が出て行ったことに気づかれて、群衆の中で振り向き、「わたしの着物にさわったのはだれか」と言われた。

5:31 そこで弟子たちが言った、「ごらんのとおり、群衆があなたに押し迫っていますのに、だれがさわったかと、おっしゃるのですか」。

5:32 しかし、イエスはさわった者を見つけようとして、見まわしておられた。

5:33 その女は自分の身に起ったことを知って、恐れおののきながら進み出て、みまえにひれ伏して、すべてありのままを申し上げた。

5:34 イエスはその女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい。すっかりなおって、達者でいなさい」。

5:35 イエスが、まだ話しておられるうちに、会堂司の家から人々がきて言った、「あなたの娘はなくなりました。このうえ、先生を煩わすには及びますまい」。

5:36 イエスはその話している言葉を聞き流して、会堂司に言われた、「恐れることはない。ただ信じなさい」。

5:37 そしてペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネのほかは、ついて来ることを、だれにもお許しにならなかった。

5:38 彼らが会堂司の家に着くと、イエスは人々が大声で泣いたり、叫んだりして、騒いでいるのをごらんになり、

5:39 内にはいって、彼らに言われた、「なぜ泣き騒いでいるのか。子供は死んだのではない。眠っているだけである」。

5:40 人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスはみんなの者を外に出し、子供の父母と供の者たちだけを連れて、子供のいる所にはいって行かれた。

5:41 そして子供の手を取って、「タリタ、クミ」と言われた。それは、「少女よ、さあ、起きなさい」という意味である。

5:42 すると、少女はすぐに起き上がって、歩き出した。十二歳にもなっていたからである。彼らはたちまち非常な驚きに打たれた。

5:43 イエスは、だれにもこの事を知らすなと、きびしく彼らに命じ、また、少女に食物を与えるようにと言われた。

 

文語訳1917

"410521","イエス舟にて復かなたに渡り給ひしに、大なる群衆みもとに集る、イエス海邊に在せり。"

"410522","會堂司の一人、ヤイロという者きたり、イエスを見て、その足下に伏し、"

"410523","切に願ひて言ふ『わが稚なき娘、いまはの際なり、來りて手をおき給へ、さらば救はれて活くべし』"

"410524","イエス彼と共にゆき給へば、大なる群衆したがひつつ御許に押迫る。"

"410525","ここに十二年血漏を患ひたる女あり。"

"410526","多くの醫者に多く苦しめられ、有てる物をことごとく費したれど、何の效なく、反つて増々惡しくなりたり。"

"410527","イエスの事をききて、群衆にまじり、後に來りて、御衣にさはる、"

"410528","『その衣にだに觸らば救はれん』と自ら謂へり。"

"410529","かくて血の泉ただちに乾き、病のいえたるを身に覺えたり。"

"410530","イエス直ちに能力の己より出でたるを自ら知り、群衆の中にて、振反り言ひたまふ『誰が我の衣に觸りしぞ』"

"410531","弟子たち言ふ『群衆の押迫るを見て、誰が我に觸りしぞと言ひ給ふか』"

"410532","イエスこの事を爲しし者を見んとて見囘し給ふ。"

"410533","女おそれ戰き、己が身になりし事を知り、來りて御前に平伏し、ありしままを告ぐ。"

"410534","イエス言ひ給ふ『娘よ、なんぢの信仰なんぢを救へり、安らかに往け、病いえて健かになれ』"

"410535","かく語り給ふほどに、會堂司の家より人々きたりて言ふ『なんぢの娘は早や死にたり、爭でなほ師を煩はすべき』"

"410536","イエス其の告ぐる言を傍より聞きて、會堂司に言ひたまふ『懼るな、ただ信ぜよ』"

"410537","かくてペテロ、ヤコブその兄弟ヨハネの他は、ともに往く事を誰にも許し給はず。"

"410538","彼ら會堂司の家に來る。イエス多くの人の、甚く泣きつ叫びつする騷を見、"

"410539","入りて言ひ給ふ『なんぞ騷ぎかつ泣ュか、幼兒は死にたるにあらず、寐ねたるなり』"

"410540","人々イエスを嘲笑ふ。イエス彼等をみな外に出し、幼兒の父と母と己に伴へる者とを率きつれて、幼兒のをる處に入り、"

"410541","幼兒の手を執りて『タリタ、クミ』と言ひたまふ。少女よ、我なんぢに言ふ、起きよ、との意なり。"

"410542","直ちに少女たちて歩む、その歳十二なりければなり。彼ら直ちに甚く驚きおどろけり。"

"410543","イエス此の事を誰にも知れぬやうにせよと、堅く彼らを戒め、また食物を娘に與ふることを命じ給ふ。"

 

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各国聖書引照

 

(日)並行個所・・・・・・塚本虎二訳

塚本訳 マタ 9:18-26

9:18 こう話しておられると、そこに一人の(礼拝堂の)役人が進み出て、しきりに願って言った、「わたしの娘がたったいま死にました。それでも、どうか行って、手をのせてやってください。そうすれば生き返りますから。」

9:19 イエスは立ち上がって彼について行かれた、弟子たちも一しょに。

9:20 するとそこに、十二年も長血にかかっていた女が近寄ってきて、後ろからイエスの上着の裾にさわった。

9:21 「お召物にさわるだけでも、なおるにちがいない」と、ひそかに思ったのである。

9:22 イエスは振り向いて、女を見ながら言われた、「娘よ、安心しなさい、あなたの信仰がなおした。」するとちょうどその時から、女はなおった。

9:23 やがてイエスは役人の家に着いて、笛吹き男と騒いでいる群衆とを見ると、

9:24 言われた、「あちらに行っておれ。少女は死んだのではない、眠っているのだから。」人々はあざ笑っていた。

9:25 群衆が外に出されると、イエスは(部屋に)入っていって少女の手をお取りになった。すると少女は起き上がった。

9:26 この評判がその土地全体に広まった。

 

塚本訳 ルカ 8:40-56

8:40 イエスが(カペナウムに)帰ってこられると、群衆は喜んで迎えた。皆待っていたのである。

8:41 するとそこに名をヤイロという人が来た。この人は礼拝堂の役人であった。イエスの足もとにひれ伏し、家に来ていただきたいと願った。

8:42 十二歳ばかりの一人娘があって、それが死にかけていたのである。(ヤイロの家に)行かれる途中、群衆はイエスを押しつぶしそうであった。

8:43 すると十二年このかた長血をわずらって、だれにもなおしてもらえなかった女が、

8:44 近寄ってきて、後からイエスの上着の裾にさわった。すると、たちどころに地の出るのがやんだ。

8:45 イエスが言われた、「わたしにさわったのはだれか。」皆が知らないとこたえると、ペテロが言った、「先生、(なにしろ)群衆が(こんなに)あなたを取り巻いて、もみ合っているのですから。」

8:46 イエスが言われた、「(確かに)だれかがさわった。わたしの中から力が出ていったのを感じたから。」

8:47 女は隠しおおせないのを見て、震えながら、進み出てイエスの前にひれ伏し、さわった訳と、たちどころに直ったこととを皆の前で話した。

8:48 イエスは言われた、「娘よ、あなたの信仰がなおしたのだ。『さよなら、平安あれ。』」

8:49 イエスがまだ話しておられるところに、礼拝堂監督の家からひとりの人が来て(監督に)言った、「お嬢さんはもうなくなりました。先生にこれ以上御迷惑をかけられないように。」

8:50 イエスは聞いて監督に言葉をかけられた、「こわがることはない。ただ信ぜよ。そうすれば助かる。」

8:51 家に着かれると、ペテロとヨハネとヤコブと、女の子の父と母とのほかには、だれも一しょに中に入ることを許されなかった。

8:52 (集まった)人々が皆泣いて、女の子のために悲しんでいた。イエスが言われた、「泣くな。死んだのではない、眠っているのだ。」

8:53 人々は死んだことを知っているので、あざ笑っていた。

8:54 しかしイエスは女の子の手を取り、声をあげて「子よ、起きなさい!」と呼ばれると、

8:55 霊がもどって、即座に女の子は立ち上がった。イエスは(何か)食べさせるように言いつけられた。

8:56 両親が呆気にとられていると、イエスはこの出来事をだれにも言うなと命じられた。

 

(独)NESTLE-ALAND  NOVUM TESTAMENTUM  GRAECE 27版1993 の引照

新共同 マタ 9:18

9:18 イエスがこのようなことを話しておられると、ある指導者がそばに来て、ひれ伏して言った。「わたしの娘がたったいま死にました。でも、おいでになって手を置いてやってください。そうすれば、生き返るでしょう。」

 

新共同 マコ 1:41

1:41 イエスが深く憐れんで、手を差し伸べてその人に触れ、「よろしい。清くなれ」と言われると、

 

新共同 ルカ 5:17

5:17 ある日のこと、イエスが教えておられると、ファリサイ派の人々と律法の教師たちがそこに座っていた。この人々は、ガリラヤとユダヤのすべての村、そしてエルサレムから来たのである。主の力が働いて、イエスは病気をいやしておられた。

 

新共同 マコ 3:5

3:5 そこで、イエスは怒って人々を見回し、彼らのかたくなな心を悲しみながら、その人に、「手を伸ばしなさい」と言われた。伸ばすと、手は元どおりになった。

 

新共同 マタ 9:22

9:22 イエスは振り向いて、彼女を見ながら言われた。「娘よ、元気になりなさい。あなたの信仰があなたを救った。」そのとき、彼女は治った。

 

新共同 マタ 17:1

17:1 六日の後、イエスは、ペトロ、それにヤコブとその兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。

 

新共同 マタ 8:15

8:15 イエスがその手に触れられると、熱は去り、しゅうとめは起き上がってイエスをもてなした。

 

新共同 マタ 8:4

8:4 イエスはその人に言われた。「だれにも話さないように気をつけなさい。ただ、行って祭司に体を見せ、モーセが定めた供え物を献げて、人々に証明しなさい。」

 

(英・米)THE NEW TREASURY OF SCRIPTURE KNOWLEDGE 1982 の引照

口語訳 Tコリ11:30

11:30 あなたがたの中に、弱い者や病人が大ぜいおり、また眠った者も少なくないのは、そのためである。

 

口語訳 ピリ 3:21

3:21 彼は、万物をご自身に従わせうる力の働きによって、わたしたちの卑しいからだを、ご自身の栄光のからだと同じかたちに変えて下さるであろう。

 

(日)新共同訳1987 の引照

新共同 使  13:15

13:15 律法と預言者の書が朗読された後、会堂長たちが人をよこして、「兄弟たち、何か会衆のために励ましのお言葉があれば、話してください」と言わせた。

 

新共同 使  18:8

18:8 会堂長のクリスポは、一家をあげて主を信じるようになった。また、コリントの多くの人々も、パウロの言葉を聞いて信じ、洗礼を受けた。

 

新共同 使  18:17

18:17 すると、群衆は会堂長のソステネを捕まえて、法廷の前で殴りつけた。しかし、ガリオンはそれに全く心を留めなかった。

 

新共同 使  9:17

9:17 そこで、アナニアは出かけて行ってユダの家に入り、サウロの上に手を置いて言った。「兄弟サウル、あなたがここへ来る途中に現れてくださった主イエスは、あなたが元どおり目が見えるようになり、また、聖霊で満たされるようにと、わたしをお遣わしになったのです。」

 

新共同 使  28:8

28:8 ときに、プブリウスの父親が熱病と下痢で床についていたので、パウロはその家に行って祈り、手を置いていやした。

 

新共同 使  16:36

16:36 それで、看守はパウロにこの言葉を伝えた。「高官たちが、あなたがたを釈放するようにと、言ってよこしました。さあ、牢から出て、安心して行きなさい。」

 

新共同 ヤコ 2:16

2:16 あなたがたのだれかが、彼らに、「安心して行きなさい。温まりなさい。満腹するまで食べなさい」と言うだけで、体に必要なものを何一つ与えないなら、何の役に立つでしょう。

 

新共同 使  14:9-10

14:9 この人が、パウロの話すのを聞いていた。パウロは彼を見つめ、いやされるのにふさわしい信仰があるのを認め、

14:10 「自分の足でまっすぐに立ちなさい」と大声で言った。すると、その人は躍り上がって歩きだした。

 

新共同 ロマ 4:18-22

4:18 彼は希望するすべもなかったときに、なおも望みを抱いて、信じ、「あなたの子孫はこのようになる」と言われていたとおりに、多くの民の父となりました。

4:19 そのころ彼は、およそ百歳になっていて、既に自分の体が衰えており、そして妻サラの体も子を宿せないと知りながらも、その信仰が弱まりはしませんでした。

4:20 彼は不信仰に陥って神の約束を疑うようなことはなく、むしろ信仰によって強められ、神を賛美しました。

4:21 神は約束したことを実現させる力も、お持ちの方だと、確信していたのです。

4:22 だからまた、それが彼の義と認められたわけです。

 

新共同 Tテサ4:13-18

4:13 兄弟たち、既に眠りについた人たちについては、希望を持たないほかの人々のように嘆き悲しまないために、ぜひ次のことを知っておいてほしい。

4:14 イエスが死んで復活されたと、わたしたちは信じています。神は同じように、イエスを信じて眠りについた人たちをも、イエスと一緒に導き出してくださいます。

4:15 主の言葉に基づいて次のことを伝えます。主が来られる日まで生き残るわたしたちが、眠りについた人たちより先になることは、決してありません。

4:16 すなわち、合図の号令がかかり、大天使の声が聞こえて、神のラッパが鳴り響くと、主御自身が天から降って来られます。すると、キリストに結ばれて死んだ人たちが、まず最初に復活し、

4:17 それから、わたしたち生き残っている者が、空中で主と出会うために、彼らと一緒に雲に包まれて引き上げられます。このようにして、わたしたちはいつまでも主と共にいることになります。

4:18 ですから、今述べた言葉によって励まし合いなさい。

 

新共同 使  9:40

9:40 ペトロが皆を外に出し、ひざまずいて祈り、遺体に向かって、「タビタ、起きなさい」と言うと、彼女は目を開き、ペトロを見て起き上がった。

 

(仏)THE NEW JERUSALEM BIBLE 1985 の引照

口語訳 使  9:40

9:40 ペテロはみんなの者を外に出し、ひざまずいて祈った。それから死体の方に向いて、「タビタよ、起きなさい」と言った。すると彼女は目をあけ、ペテロを見て起きなおった。

 

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